表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/58

第21話 ララ視点


 あたしはララ。この家の長女だ。

 あたしは公爵家にも認められている、ラフィーナの薬屋を営んでいる店長だった。

 そんなあたしが朝起きて店内へと向かい、衝撃の光景を目にしてしまった。


 ……ここ最近、汚れが目立ち始めていた店内。

 その掃除を命令しておいたのに、リフェアがサボっていたからだ。

 リフェアがどこに行ったのかと思って家の中を探していると、彼女は奥の工房で休んでいた。


「ちょっとリフェア! 掃除くらいしなさいよ!」


 今朝の掃除当番はリフェアのはずだった。

 もうすぐ、店を開ける時間だというのに、これでは汚れた店のまま接客をする必要がある。


 店内だけが問題じゃない。

 昨日風が強かったためか、よくわからないゴミがいくつか転がっている。

 あたしが今すぐにリフェアに掃除をやらせようとその腕をつかむと、彼女はばしっと手を弾き落としてきた。

 そして、きっと睨みつけてくる。


「はぁ!? そもそも、姉さんが前の日当番なのにきちんと掃除してなかったからでしょ!? 私、やらないよ!」

「生意気言わないでよ! ああ、もう!」


 もう、本当最悪!

 とりあえず、急いで今日販売する予定のポーションの製作を行った私たちは、それを店へと並べていく。

 なんだか、商品の並びが良くない。

 なんかこう、ぐちゃっとしてしまっている。結局店内も掃除できていないので、少し汚らしいし。


「ちょっとリフェア! もっと考えて置きなさいよ!」

「はぁ!? 私が置いたほうは綺麗でしょうが! 姉さんのほうが汚いわよ!」

「そんなことないでしょ! あんたのほうよ!」


 私たちは顔を突き合わせる。

 ていうか、こういう雑用はルーネの仕事でしょうが!

 ちょうど、リフェアもそう思ったようで、私たちは一度そこで息を吐いた。


「もうなんでバルーズ様はあんな出来損ないなんかを薬師にしたのよ!」

「ほんとよね! かっこいいけど、見る目なさすぎ!」

「ていうか、あいつもそうよ! 大した実力もないのに勘違いしてほいほいついていってさ!」

「ほんとね、どうせ今頃バルーズ様も嘆いていると思うわよ。なんでこんな奴を専属の薬師として雇ったのかってね」

「そうよね」


 それからしばらく文句を言いながら、私たちはいつもの時間に店を開けた。

 しかし……午前中。まったく人は来なかった。


「……ていうか、最近お客さん来ないわよね?」

「……ほんとね?」

「もしかしたら最近ポーション自体が売れてないのかもね」

「そうかもね。それならもうお店は閉めちゃって昼でも食べに行きましょうよ」

「そうね。どうせ開けてても意味ないんだしね」


 私たちは料理ができない。ま、別にいいんだけどね。

 お金はあるので毎日外食だ。

 大しておいしくないルーネの料理を食べさせられていた時と比べれば天国だ。


 行きつけの店で食事をしていた時だった。


「そういえば聞いたか? ルーネさん公爵様の家の専属薬師になったらしいぞ?」


 そんな声が聞こえた。視線だけを向けると、そちらでは冒険者と思われるグループが食事をしていた。

 ……以前、何度か店で見たことあるかも。名前までは知らなかったけど。

 

「ルーネなんか雇っちゃって、公爵様の評判も落ちるんじゃない?」

「そうなったら、もしかしたら私たちにもチャンスが回ってくるかもね」


 さぁ、せいぜいルーネを貶めるようなことを言いなさい!

 そう思っていると、男の冒険者が残念そうな声をあげた。


「え? そうなのか……? マジかよ。服装とかはアレだったけど、結構落ち着いていてキレイ目な人だし好きだったんだけどなぁ。もう会えないのかぁ」

「何?あんたルーネさんに会うために高いポーション買いに行っていたの?」

「ちげぇよ! ていうか、ポーション自体はかなり質良かっただろ!?」

「そうね。一部の商品はね。でも最近はなんか、一気に質が落ちたわよね」


 ……は?


「……そうそう。もしかしてあの質が良かったのってルーネさんが作っていたんじゃないのか? 専属の薬師として雇われるくらいの腕前なんだしさ」

「……もしかしたらそうかもね。あそこって確か三人でやっていたんだっけ?」

「ああ。残った二人の腕が微妙なんだろうな。味も質も、そこらの300ゴールドくらいのポーションと同じなんだから、1000ゴールドも出せねぇよな」


 こ、こいつら!!

 あたしたちは苛立ちが頂点に達してしまった。

 それでも、この場で彼らを叱りつけず、ぐっとこらえた。

 あたしたちは、大人で、良識をわきまえていたからだ。

【重要なお知らせ!】


日間ランキング5位でした!

1位を目指して、更新頑張っていきますので、


・ブックマーク

・評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」


をしていただきますととても嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ