表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/58

第18話


 アトリエ裏手にある畑では、薬草たちがすでに出来上がっていた。


「回収していきましょうか!」


 こんなにたくさんの薬草畑に私はもうテンションが上がりっぱなしだった。

 この薬草畑に思いっきりダイブして横になりたいくらいだったけど、せっかくの服がそれこそ泥だらけになってしまうのでグッとこらえた。


 ……あと、一応もう私は貴族専属の薬師だしね。ここが誰もいない場所で、私に特別な立場がなければ確実にダイブしていたけど。


「ちなみにですが、こちらの薬草はすべてルーネ様の自由に使って頂いて構いませんからね。週に納品する予定のポーションに必要な素材はすべてこちらで用意しますから」

「……そういえば、そうだったね」

「こちらの回収は私もお手伝いしますね」

「あっ、お願いします。根っこはそのまま残しておくようにお願いします」

「分かりました。それでは鎌とカゴを庭師から借りてきましょう」


 ニュナがそういって一度私から離れた。

 すぐに戻ってきて、先ほど言っていた道具を用意してくれた。

 私はニュナとともに庭の薬草をとっていく。

 

 ひとまず、すべて取り終えた後で、私は土を鑑定魔法で確認していく。


 魔力土 質 Cランク


「……なるほど」


 ……やっぱり、土の質が落ちてしまっている。

 これは、一度薬草に栄養をとられてしまったためだ。


「すみません、土の肥料ってありますか?」

「確か、庭師の部屋に用意があったはずです。これから運んできましょう」

「あっ、お願いします!」


 先ほど同様、ニュナは全力疾走で消え、そして全力疾走で台車とともに戻ってきた。


「そ、そんなに急がなくても」

「安心してください、走るのが好きなので」

「……ニュナって結構運動得意なんですか?」


 足とか腕とか、程よく筋肉がついていた。


「そうですね。一応私は護衛術も学んでいます」

「ご、護衛術!? 凄いですね……。私、運動とかはあんまり得意じゃなくて」


 運動の才能は姉たちにすべて取られてしまったと考えても間違いないくらい私は運動が苦手だった。


「安心してください。その分は私が補助しますから」


 ニュナがぐっと親指を立てる。


「……ありがとうございます」

「肥料は三袋持っていましたので、とりあえず全部運んできました」

「そうなんですね」


 私は運び込まれた肥料を眺めていく。

 ……いまいち、土については詳しくないんだよね。


 とりあえず、色々と試していってみないとね。

 私は弱ってしまった部分の土を入れ替えていく。

 根っこを傷つけないようにスコップで土ごと取り出し、それから魔力土を加えていく。


 見ると、魔力土の質がCからBランクに上がっていた。

 ……Aランクまでは戻らないかぁ。

 色々と調整していったけど、中々難しい。


「これはまたあとで勉強しないとですね」


 私がそういうと、ニュナが微笑んだ。


「そうですか、頑張っていきましょうね」


 私は最後に水やりとして、魔力水を畑にまいていった。

 それを見ていたニュナがぽつりと呟く。


「この薬草たちもまた明日には成長しているんですかね?」

「どうですかね? 確かに私の魔力水は薬草を育てるのに相性が良いと母さんが教えてくれましたから」

「なるほど……。お母様が。そういえば、お母様は薬屋にいませんでしたが、席を外していたのでしょうか?」


 ……あー、そっか。知らないか。

 正直に伝えるかどうか少し迷う。あんまり重苦しい空気にならないように私は笑みとともに頬をかいた。


「病気でなくなってもういないんですよ」

「……そ、そうだったの、ですか……も、申し訳ございません! 何も知らずに失礼なことを――!」

「気にしないでください! 母さんも、別れよりも出会いを大切にしなさい、とよく言ってくれていましたから! 私母さんの病気を治すために必死にポーションの勉強をしていたんです! そのおかげで、今はこうして公爵様の薬師にもなれたので、結果的にはオッケーなんです!」


 私がそういうと、ニュナは唇をぎゅっと噛んでから、笑った。

 私の伝えたい気持ちを察してくれたんだろう。


「今もそのためにポーション作りを?」

「はい。病気で困っている人を助けたいです。だから、今も色々と勉強中ですね」

「……頑張ってください。ポーション作り以外であれば私もサポートします。必要なことがあれば何でもおっしゃってください」

「ありがとうございます」


 ニュナは優しいなぁ。

 彼女が専属メイドになってくれたことを改めて喜んでいると、屋敷のほうが騒がしくなった。


「どうしたんですかね?」

「分かりません、確認してみます」


 ニュナとともに歩き、屋敷へと近づきメイドに訊ねる。

 すると彼女は青白い顔で叫んだ。


「ば、バルーズ様が、倒れてしまったんです!」

【重要なお知らせ!】


日間ランキング2位でした!

1位を目指して、更新頑張っていきますので、


・ブックマーク

・評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」


をしていただきますととても嬉しいです!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公の女の子がどのような容姿なのか、ちょっと気になります。新しい服もどう似合っていたのか どんな髪色や目の色なのか 可愛いのか綺麗系なのかとか イメージが、わきにくいです
[気になる点] 「……そういえば、そうだったね」 この部分のルーネの口調が前後と比較して丁寧語じゃないと違和感があると思います。心の声だったら違和感が無いんですけど。
[一言] >土は三つ持っているようでしたので、とりあえず三つ、運んできました 土が3つって、どういう数え方してるの? 運んできましたも、どうやって運んだの? 一輪車の有る設定なのかは分かりませんが、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ