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第16話

 寝返りを打った私は設置されていた錬金釜に腕をぶつける。


「あっ、おはよう……」


 目を擦りながら私は錬金釜を一度撫でてから、体を伸ばした。

 さて、とりあえず少量の魔力水を錬金釜に入れて……と。 


 魔力水 質 Cランク


 寝起きだからちょっと質が落ちちゃってるかも。まあ、いいかな? 今回は少量にしてある。

 というのも、目覚めの一杯として軽く造ろうと思っただけだから。

 薬草なども寝室にいくつか保管してもらってある。そちらへと足を延ばし、私は薬草を取り出す。


 私は魔力水を味見し、それからアカサ草を取り出した。

 薬草を魔力水に入れて煮込んでいく。色が変化していき、私はそれにひとまず満足する。

 

 体力回復ポーション 質 Bランク


 うん、こんな感じかな? それを私は口につけてみる。


「うん、落ち着く」


 味はそれほど調整していないので、少し苦い。

 けど、寝起きの一杯としては十分だ。


「……それに――幸せぇ」


 ポーション製作に集中できるこの環境に、私は大変満足していた。

 朝起きてすぐにポーションが作れるなんて最高!


 思わず錬金釜に頬ずりをしていると、部屋がノックされる。

 

「ニュナ? 入っていいですよ」

「はい」


 すっとニュナが一礼をしてきた。


「おはようございます。こちらからポーションを製作する匂いがしましたので、もう起きていらっしゃるかと思いまして」

「はい、大丈夫ですよ! おはようございます!」

「はい。……とりあえず、まずは髪を整えましょうか」

「え? 別にいいですよ? 誰かに見せるわけではな――」

「いけません。整えさせてもらいます。今は公爵家の薬師なんですからね?」

「……は、はい」


 有無を言わさぬ圧力に私は頬が引きつる。

 ……でも確かに、私はもう公爵家の薬師なんだ。

 自分一人で完結していた今までとは違う。

 ……少しは自覚しないと、せっかくこんな素晴らしい環境を用意してくれたバルーズ様にも迷惑をかけてしまうかもしれないしね。


 髪をすいてくれたニュナは、それから服を合わせてきた。


「……あれ? なんだか服増えていますね?」


 昨日購入したものとはまた別に増えている。


「はい。私がいくつか購入してきました」

「え? なんでですか?」

「着せ替えの為の――公爵家の薬師として、ふさわしい格好をと思いまして。安心してください。昨日選んだものはどちらかといえば、外行きの服です。私が用意させていただいたのは、屋敷内で身に着けるものですから」

「ありがとうございます」


 今何か別の言葉を言いかけたような? 細かいことを気にしていても仕方ないかな。


「あっ、でも今日は土いじりをしようと思っていますから、汚れても良い服でお願いします」

「……そうでしたか。では、こちらで」


 彼女は比較的落ち着いた服を見せてきた。

 とはいっても、それも私が薬屋で着ていたときよりも十分に綺麗なものだったけど。

 そちらもいくつか服の合わせを行ったあとで、私は一つの服に袖を通した。


「ありがとうございます」

「朝食の用意してありますので、下のリビングにてお待ちください」

「分かりました!」


 私は言われるがままに階段を下りていく。

 ……綺麗。

 私が思ったのは部屋に対してだった。

 昨日私が少し生活して、多少の汚れなどはあっただろうに、今はまるで新築の家のようにピカピカだった。


「部屋綺麗ですね。もしかして掃除してくれましたか?」

「はい、メイドの仕事ですので。もしも気になる部分があればご指摘ください」

「いえいえ、全然大丈夫ですよ。むしろ、ここまでピカピカにしなくても大丈夫ですから」

「薬師様の大切なお体に何かあったら大変ですから。その可能性を少しでも潰せるようにするのがメイドとしての務めですのでお気になさらないでください」


 ……私多少汚い部屋で寝ていても大丈夫なんだけどね。

 とはいえ、掃除とかも全部自分がしていたので、そういった負担がなくなるのはとても嬉しかった。

 リビングに下りると、ニュナが一度部屋を出ていった。それから、厨房より料理を運んできてくれた。

 

「それでは、こちら朝食となります。そちらのお肉はワイルドボアという魔物のお肉でして、とても柔らかく美味しいんですよ」


 ……ちょ、ちょっと朝から豪華すぎる気がする。

 量に関しても、普通の女性から見れば多いかもしれないけど、私結構食べるほうだから問題なかった。


 ぱくりと口をつける。

 肉汁がじゅわりと口の中に広がる。その肉汁とパンを合わせるように口をつける。

 パンも柔らかい。基本的に私の家ではここまで柔らかなパンはなかった。まるでできたてのような柔らかさだ。

 私がもみもみとパンを握り、その柔らかさに驚嘆していると、ニュナがくすりと微笑んだ。


「パンの方は毎朝焼いていますのでとても柔らかいでしょう?」

「そ、そうですね……」


 は、恥ずかしい。

 私は僅かな恥ずかしさを感じ、ぎゅっと唇をかむ。

 と、とりあえずもう恥ずかしい姿を見せないようにしないとね。


「そういえば、ニュナは一緒に食事はしないんですか?」


 なんというか私一人で食べているのはちょっと慣れない。

 私の指摘にニュナはくすりと笑った。


「私はすでに食べていますから安心してください」

「え、そうなんですか?」

「はい。それに、仕える主とともに食事をするわけにはいきませんしね」

「……そうですかぁ」


 一人で食べるよりは一緒に食べてくれたほうが楽しいし嬉しいんだけどなぁ。

 そんな話をしたところで、私は食事を終えた。


「それではルーネ様。昨日バルーズ様とお話をしまして、今後の薬師としての具体的なスケジュールについてのご相談をさせてください」

「分かりました!」


 ど、どのくらいの仕事を要求されるんだろうか?

 やっぱり専属の薬師だし、きっと大変なんだろう……。


「とりあえずですが、週に500本のポーションの納品というのを理解していただければ大丈夫ですね」


 ……あれ、それだけ?

【重要なお知らせ!】


日間ランキング2位でした!

なんとかしてもう一度1位を……!

頑張っていきますので

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をしていただきますととても嬉しいです!



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― 新着の感想 ―
[一言] ニュナのイメージ:神プロのアモンですね(w)
[一言] ふふっ、もっと作りたいのね^^ ニュナ、一緒に食べてあげればいいのに~
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