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第1話

 私の家は、薬屋だ。

 主にポーションを造り、それを冒険者たちに販売している。

 薬屋は三姉妹で経営しているのだが――

 

「ちょっと! ルーネ! まだ掃除終わっていないの!?」

「本当にあんたは愚図なんだから! いわれたこともできないなんて無能極まりないわね!!」


 怒鳴りつけてきたのは私の姉二人だ。

 彼女らはにやにやと馬鹿にしたような笑みを向けてきた。

 私はそれを我慢して頭を下げる。


「申し訳ありません、お姉さま」


 私がそういうと、長女のララが手を振りあげた。


「口じゃなくて手を動かしなさいよ!」


 ばしっと彼女に頬を叩かれる。私はすぐに黙って雑巾で床の掃除をしていた。

 ……今はお客様がこぼしてしまったポーションを拭いていたところだ。

 店内に客がいないのをいいことに、姉たちは私をいじめていた。


「ちょっと、無視してんじゃないよ!」


 と、今度は次女のリフェアが雑巾を握っていた手を踏みつけてきた。

 私は痛みに唇をぎゅっと噛んで、それから頭を下げた。


「申し訳ありません」

「ふん、さっさと掃除しておきなさいよ。私たちは奥でポーションを作っているから!」


 ララとリフェアはそういって奥へと消えていった。

 私は小さく息を吐いてから、掃除を頑張る。

 ……とりあえず掃除をしっかりとすれば、ポーションを作れるからね。


 ララとリフェアがここまで怒っていたのは、お客様が言っていた言葉が原因だ。


「嬉しかったけど、出来れば姉さんたちがいないときに言ってほしかったなぁ」


 冒険者のお客様が、私のポーションをべた褒めしてくれたのだ。

 私が作ったポーションはとてもできが良い、と。

 それを聞いた二人が嫉妬して、私にこれほど強く当たっていたのだ。


 掃除を終えた私は、奥の部屋でポーションを作っていたララとリフェアに報告へ向かう。


「……姉さん、掃除終わりました」

「あっそ。ま、今日はポーションを作らなくていいから」

「そうそう。あたしたちが作るから、あんたは外の掃除でもしていなさい!」

「あの冒険者の体がおかしかっただけで、あんたのポーションなんて不出来なんだからね!」


 怒鳴りつけるようにララとリフェアが交互に言ってきた。

 ……また掃除かぁ。

 私は落胆しながら、頭を下げて店の外に向かった。


 あー、私もポーション作りたいなぁ。

 でも、独立してやっていけるほど実力があるか分からないんだよね。

 独立するとなると、錬金釜はもちろん、店も必要になる。


 店の立地なども大事になってきて――そんなことを考えているとお金がいくらあっても足りない。

 今この薬屋は祖母の代から続いているため、立地はもちろん、コネもたくさんある。有名貴族にポーションの納品を頼まれることもあるほどだ。


 ……ここを捨ててやっていくということは、とても難しいことを理解していたので私は今日も大人しくするしかなかった。

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