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第5話 具現化

僕はすぐステータスのスキルをタップする。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


『具現化』

思い描いている物を素材と時間があれば一切触れずに創造可能となる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「はぁ?」


まさしくぶっ壊れ性能に僕は驚きを隠せない。つまり素材さえあれば考えている物が一定の時間経過で勝手に造られるのだ。


「凄いですね。『具現化』は技量の上位とでも言うべきスキルです。どうしてこんなに早く?」

「僕が聞きたいわ」


ニカも驚いている。

実際に使ってみないと凄さは分からないが、おそらく凄いのだろう。


「早速家を建ててみるか」

「はい」


僕は家を建てようと使い方を模索する。すると普通に『具現化』が使用されていた事が直感的に理解できた。意思に反応するのかもしれない。


「まずは木造の家だな」


最初は素材が簡単そうな木造建築に決めた。頭の中に山で良く見かけるロッジを思い浮かべる。すると



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


『木造建築』 (8m×5m) ×1


必要材料


木材 (大) ×20

木材 (中) ×50

木材 (小) ×200


所持材料


木材 (大) ×0

木材 (中) ×0

木材 (小) ×0


素材が足りません


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


必要素材と創造対象名称が目の前に画面となって出てきた。


「マジか」

「まぁ、木を切っただけで加工してませんからね」


ニカにツッコまれた。確かに木を切った後は木材にするのが普通。僕は木を切り倒しただけだから足りないのは当たり前。


「『具現化』って木材も作れる?」

「当然です」


ニカに太鼓判を貰ってとりあえず安心。僕は再び『具現化』を起動する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


木材 (大) ×20


必要材料


原木 ×20


所持材料


オルグの木 (大) ×4


素材が足りません


木材 (大) ×4

だけ作りますか?

(はい いいえ)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「お願いします」


《木材 (大) ×4を入手しました》


まだまだ素材が足りず、僕は木材を4本だけ作った。すぐ出来るかと思ったら2分程かかった。誰も居ないのに木が勝手に削られていて、知らない人が見たらホラーだっただろう。


「木を切る他に無いようですね」

「らしいな。頑張るか」

「頑張って下さい。頑張ったらご褒美に頰っぺプニプニしてあげますよ」

「遠慮しておく」


別に僕は頬を摘まれても嬉しくない。というよりニカは頬を摘まれて痛くないのだろうか?


「『木こり』って今発動してるかな?」

「木を切る時に発動します。力を込めなくて大丈夫ですからね?」

「そりゃ、楽でいいな」


木を切るのに力を込めなくていいのは楽だ。元より疲れる程でもないが。

僕は近くの木を木材中と小の分も合わせて30本切り倒した。全て綺麗な断面で、一発一瞬で。


「お疲れ様です。では頰っぺプニプニを」

「どちらかというと頭撫でてほしい」

「よよ?甘えたいんですかぁ?」


やってしまった。頭撫でて貰うのは嬉しいが、絶対馬鹿にされた。つい本心が漏れ出てしまった。


「しょうがないですねぇ。よくできました。えらいえらい」


ニカが小さな手で僕の頭を撫でる。何故だろう、屈辱だ。


「ところでさっきは木を3本切っただけでレベルが上がったのに、今は16本切ってもレベルが上がらねんだな」


さっきステータスで確認した時は現在の経験値が150。次のレベルアップに必要な経験値は200。さっきは木を3本切った時にレベルが上がった。単純計算で1本の経験値は50。なのに今回は16本も切り倒したのにまだ上がってもいない。


「当たり前ですよ。この世界に来た時に転生ボーナスとして、100経験値貰えたんですから。あとは食べたり、投げたり、採集したり、伐採したからレベルが上がったんですよ?木を切るだけだったら経験値は4程度しか貰えませんし」


ニカの言葉を聞いて僕は驚いた。木を切っても経験値は4だとは。少ない。


「レベルアップって大変なんだな」

「まぁ、レベルアップは成長ですので。ポンポン成長するなんて有り得ませんし」


転生がある時点で、常識的じゃない気がするがここは大人の対応。


「んじゃあ、必要な木材作っといてくれる?」


僕はニカでは無く、ステータスに呼びかける。すると木が削られていく。


「画面出さなくていいのかよ」

「まぁ、『具現化』は高性能なので」

「凄!!」


現代の音声認識よりも遥かに高性能。具現化様様。


「ニカ。所要時間とか分かったりしない?」

「2時間程で出来るかと思いますが、暇ですね」


あんだけの量ならば仕方がないが、確かに暇だ。


「暇だからニカの頰っぺでもプニプニしてようかな」

「是非!!」


冗談で言った言葉にニカは文字通り飛んで来た。僕は片手でニカの頬を摘みながら、贈り物(ギフト)から釣竿を取り出す。


「近くに川とかある?」

「ふぁい、いっふぇんふぃふゃふふぇえふぉうほほはひひほははあはっははほ(はい、1.2km程先に小川があったかと)」

「もはやなんて言ってるかわかんねぇよ」


僕は『翻訳』があるから理解はできるが無かったら長文は厳しい。


「んじゃあゆっくり行きますか。食料調達に」


僕は小川を探しに森に入った。



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