平凡な彼女の、よくある勘違い話
平凡な私の、よくある失恋話。の、彼視点です。
前作を読んで頂いた方が分かるのではと、思います。
実は溺愛されてるってことで。
ーなんでこんなことになった!ー
メールを見て、呆然とした。見かけた?どこで?あれか?
「ちっ」
俺の舌打ちを聞いた、隣の親友がギョッとする。
「なんだよ、どうした?」
「……お前のせいでな、最悪だ、」
「はぁ?」
はっきり言って、俺はもてた。両親に感謝だ。
中学生になって背が伸びてからは、女が寄ってきた。悪い気はしない。キャーキャー言われて、浮かれた。
なのに、1人の女だけ、俺から離れていった。子供のころこら、よく遊んでいた、いわゆる幼馴染というやつだ。近所だったから、時々一緒に帰ったし、会えば話もした。
なのに、いつからか、あぁ、多分俺がキャーキャー言われるようになってから。
よそよそしくなって、廊下ですれ違っても、下を向いたままだし、話しかけようとしたら、踵を返して逃げられる。なんでだよ?
別に、お前と疎遠になったからって何て事ないって思ってるけど…、避けられるとムカつくだろ?
「ねぇ、最近なんで避けてるの?」
「えっ?何を?」
「何を、じゃなくて、誰を、だよ。スターの彼、1年生の頃とか、よく登下校してたし、しゃべってたじゃない?」
放課後の、教室で。同じクラスではなかったけど、あいつの友達が俺と同じクラスだった。忘れ物を取りに戻ってきた俺は、思わず聞き耳をたてる。
「避けてるっていうか…ほら、スターだし。もう雲の上な感じじゃん?」
「それで?」
「もう、私なんて、話しかける立場じゃないし、それに、 別に…近所で、幼稚園の頃から一緒だってだけで…話さなくてもいいし…」
「ふぅん…」
それ以上聞いてられなかった。そのまま、走って部室に戻った。息が上がる。
なんだよっ、話さなくていいのかよ、俺はそれくらいの存在なのかよっ。
俺にとってもなんて事ない存在だって思っていたけど、この胸糞悪い、気持ちはーー
俺は確信した。なんて事ない存在ではなく、特別な存在なんだとーー
だけど、確信したけど、だから今更なんだ?あいつにとっては俺は雲の上のスターってやつなんだろう?
ーー別に、いい。あんなやつ。ーー
それからの俺は酷かった。高校生になっても、周りは変わらなかったから、来るものこばまず、去る者追わず。とっかえひっかえ付き合った。
好きって何だ?相手が俺を好きならいい。女の子は、柔らかくて気持ちいい。
同じ高校になったけど、あいつとは、全く接点がなかった。時々見かけると、やっぱりムカついて、隣にいた女と、ワザといちゃついてみた。だからってあいつがどう思うわけもないけど。
ー俺とお前は違う、お前なんて、何とも思わないー
そうやって思い込んでいたんだ。それが虚しいことだってわかっていたけど。
それは、普通の、ある日。部活で練習中だった。周りはキャーキャー言ってる。
シュートを決めた俺は、観衆に、笑顔を向けようと思った。そのとき…………いた、あいつが。
何重の人垣の後ろだったけど、間違えない、俺を見ている。
気が付いたら、走り出した。何事か、騒然とする周りをかき分けて。
「おいっ」
「えっ?」
なんで逃げる?もう、逃がさねぇよ。わかったから。
「逃げんなっ」
「痛いよ、離してっ」
「やだ。」
「なんでよっ。」
「逃げるから」
「逃げてないよ」
「逃げてるだろ?俺のこと見てたくせに」
「っ 見てないもんっ」
「見てただろ?間違えるわけがない。俺が、お前を」
もう分かったのだ。自分のどうしようもない気持ちも、お前の、どうしようもない気持ちも。
それからは、世界が変わった。
周りの女達を、何とも思わなくなった。相変わらず周りをうろつくけど、嬉しくない。
それより、ぎゃーぎゃーと言いながら顔を真っ赤にするあいつに夢中だった。
友達連中は、「まぁ普通だな、お前にしては。」と言われる。
知らないのだ、お前らは。
いつまでたっても、手をつなぐのを恥じらう姿を。
キスの後の上目遣いを。言葉とは裏腹な行動をとるあいつを。
かわいい。何もかもが。
全てを貰ったのは、高校を卒業してからだけど。柔らかくて、気持ちいい、なんてもんじゃなかった。このまま、ずっと繋がっていたい、痛がっているお前には悪いけど、全然足りねぇよ。って言ったら、顔を真っ赤にして、殴られたけど。
この気持ちは、ずっと変わっていないーー
で、冒頭だ。
「お前の姉貴と歩いてるのをみられたんだよ!」
「見られたって?」
「あいつにだよっ。くそっ」
「っておい、どこ行くんだ?」
親友の家を飛び出す。
早く誤解を解かねば。親友の姉貴とある事情で振りををした。って言うか、何で、その場で声をかけないんだ。あの、仮面の様な俺の顔に気付かなかったのかっ!なんで、ちょっと女と歩いていたからって、決め付けて、さようなら、になるんだっ。
あいつはいつもそうだ。どこかで、冷めている。俺に群がる女を見ても、何も言わない、顔に出さない。絶対に嫌なはずなのに、言わない。
腹が立つ。要は。あいつは。俺の愛を信用してないってことじゃないか?俺ばっかり、好きなのか?
「ムカつくな、これは、嫌っていうほど分からせないと…」
嫌がっても、してやるっ!
頭の中には、どんなことしてやろうと、とても人には言えない、卑猥なことが浮かんでいた。
「いやっ、もう あんっ」
「いやじゃないでしょ?ここはクチュクチュいってるのに。ほらっ、のみこまれそうだ」
「あっ いっ 」
「まだまだ。俺の愛を疑った、お仕置きだからな」
「あっあっあっいっ」
「いく?」
「あーっ、もぉむり」
逃がさない。お前は一生俺のもの。
まずは、読んで頂き、ありがとうございます。
今度はR要素ありでって言ったのに、あんまり書けなかったなぁ
リクエストありましたら、書きますよ(笑)
自分の文章能力の無さを痛感しております。