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私とワタシ

作者: 尚文産商堂

「もう朝かぁ」

私は、あくびをしながら起き上った。

ベットから、するりと立ち上がると、ボタンがいつの間にか外れていたのか、パジャマがずり落ちて行く。

「あらら」

特に気にすることもなく、私はズボンも脱いでいく。

高校教師、5年目。

彼氏無し、独り暮らし、家の中は散らかり放題。

学校では、化学と物理と生物と地学を教えている。

評判は、悪くはないが、よくもない。

ちゃんと授業もしているし、質問もしっかりと答えている。

けど、何かがだめなんだろうか、私には分からない。

「ま、大丈夫か」

私は、独り言を言いながら、コーヒーをまず温め始める。

トースターも動かして、パソコンを付ける。

着替えている間に、あらかたのことは終わる。

コーヒーは電子レンジで温まるし、トースターでパンは焼けるし、パソコンは立ち上がる。

アイドル状態になったパソコンの前に座るころには、すっかりと朝食の準備は整っていた。

「ふぅ」

一息ついて、寝たあとから今までのニュースを確認する。

テレビが無い私の家で情報を得るためには、新聞かパソコンしかない。

そもそも、最近新聞は断ったから、もうパソコンしかないけど。


「よし、これぐらいでいいかな」

情報は主に、最新の物理や化学や生物や地学の知識を得るために定期的に巡回しているサイトと、ニュースを見るために巡回しているサイトの二種類に分けれられる。

朝見るのは最初に説明した知識の為のサイトだけだ。

夜に帰って来てから、時間があればニュースサイトも回ると言う感じだ。

また、通勤途中にスマートフォンを使ってニュースサイトを巡回するから、そっちも問題ない。

問題があるとすれば、今日の授業中ぐらいだろうか。

それだけだから、私は何も考えずに、タンタンと朝ごはんを食べた。


戸締りを確認して、それから家を出る。

ここからはさほど遠くないところに、職場の高校があるから、私は歩いていく。

「きゃっ」

ぶつかる音と、短い叫び声は同時だった。

「あ、すみません。大丈夫ですか」

よろけるぐらいで済んだ私はすぐに彼女に声をかける。

「ええ、大丈夫です…」

そして、声がハタと止まる。

そこには、私にそっくりな人が、立ってこちらを見つめていた。


驚いていたのもつかの間、すぐに高校のことを思い出し、私はその場に立ち尽くしている彼女を置いて、その場を離れた。

彼女が何者なのかは、私には分からない。

ただ、この世界にはそっくりな人が5人はいるそうだから、そのうちの一人なのだろう。

きっと、そうなのだろう。

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