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白の魔法師と堕ちた俊英  作者: 夏目潤
第2章 偶然?必然?
9/20

8:確信

明日提出予定の宿題を何もやっていない夏目です。

ですがやる気も起きません。今夜はレット●ル飲んで頑張りたいと思います。(笑)

ところでこの話に出てくる金の単位「ルゼラ」は、中国の「元」の単位を参考にしました。大体1円=30元と同じ感じで、1円=30ルゼラです。だって、単位とか考えるのめんど(以下略)



「――フン。じゃあ、いくぜ」


男が奇妙な物体を机に置いて取っ手に手をかける。とたん、籠のようなものが回り始めた。中でたくさんの球が踊っている。


「17、40!」

「34、23!」

「5、43!」


ジャラジャラと球が踊る音と共に、男達が叫ぶ。中心で球を回している男の隣に座っている髭を生やした無口な男が、机に男達が叫んだ番号を彫りはじめた。

なるほど大きなテーブルには、何回も削ったような跡が見られる。こうして数字を彫っては消しているのだろう。


ふと、ローレは何も言わないフィルに心配して視線を向けた。


「おい、どうするんだ。なにか策でもあるのか」

「そんなのないよ。運だって言ったじゃん」

「はぁ!?」


思わずすっとんきょうな声を上げてしまう。同時に確信した。この男、本物のアホだ。


「だ、大丈夫なのか!?負ければ…」

「だーいじょうぶ、俺の運は本物だから。そうでなきゃ2年間もエンベリーの魔法騎士団から逃げ続けられない」

「ほ、本当に大丈夫か……」


呆然とひきつり笑いを浮かべていると、球を回している男からの怒号が飛んだ。


「おい、早くしろ!今更怖気づいても遅ぇぞ!」


フィルは少し考えこんだ後、無邪気な子供のように元気よく言った。


「1!もう一つは…えーと、2!」


がくっ、とローレは椅子からずり落ちそうになった。この男、本当に何も考えていない。

髭の男はそれを聞いて無言で数字を彫りはじめた。


他の客たちは下の階から運ばせたのか、酒やら軽い料理などに手を付け始める。ローレもちゃっかり果物に手を伸ばした。隣の馬鹿男に声を潜めて話しかける。


「ところで、お前今持ち合わせはいくつだ」


酒を進められて断っているフィルは、視線をさまよわせながら答えた。


「えーと……多分…3000ルゼラくらいかな」

「は!?そんなに少ないのか!?」


ルゼラはこの大陸全土共通の単位である。今の市場では、大体270ルゼラくらいでりんご1個が買える。ちなみに二人分の宿をとろうと思ったら最低でも200000ルゼラは必要だろう。


(もともと持っている金が少ないのに、こんなことまでしてさらに金を減らす気か!?)


今夜は野宿の覚悟をしておこう、項垂れながらそう思うローレであった。

そうこうしているうちに、球が弾き出さされる澄んだ音が2つ響く。


ローレは祈るように手を固く握った。


(1か2!1か2……そうじゃないと今夜は野宿に――)


「23、49!」


オオッ、と場が湧いた。フィルとローレはそろって撃沈。なんということだ、2つとも見事に外れてしまった。

運よく当たったのは一人の男だけだった。よれよれのシャツに、簡素なズボンを身に着けた痩せた男だ。ニヤニヤと笑いながら300000ルゼラを受け取る。


「ああ…それだけあれば宿に泊まれるのに…」


ローレは思わず声に出してしまった。金を受け取った痩せた男は、フンと鼻を鳴らす。


「おまえらみたいなビギナーとは格が違うんだよ。どうしても金が欲しいっていうなら色仕掛けでもなんでもして俺から奪うんだな」


男達の汚い笑いが上がった。もうすでに酒が回っているらしい。ローレはムッとしながら果物にかぶりつく。


「なあ、イロジカケってなんだ?」

「ローレ…案外そういうのに疎いんだね…」


番号を外したのがショックなのか、フィルの言葉にも力がない。机につっぷしたままだ。


「じゃあ、兄ちゃんからは40000ルゼラ頂くぜ」

「……好きにしてください」

「好きにさせてどうする!」


ぞんざいに金の入った袋を投げ渡そうとするフィルから袋を奪い取る。

早く金を渡せ、と催促する男を睨みつけた。


「残念だが、この袋の中には3000ルゼラしかない。40000ルゼラも払えないんだ」

「それがどうした。なら持ち物で金目になりそうな物を売ってでも払え」


やはり、あっさり引き下がってはくれないようだ。困った挙句、ローレは苦肉の策に出ることにした。


「お前ら、実は全員グルではないのか?」

「はぁ!?何言ってやがんだ!?」


ただの口から出まかせだった。だが、どうにも怪しいのも事実。


球を回していた男の隣にいた髭の男。やたら周囲を気にしているように目線が動いていた。

それはまるで、戦いの最中に仲間に合図を送っているようにも見えたのだ。


――あくまで、ローレの推測にすぎないが。


「もしもお前とそこの球を回した男が共謀してたのなら、他の客から金を吸い取るのは簡単な話だよな?」

「おいローレやめ」

「どうなんだ、ハッキリしたらどうだ」


フィルの言葉を遮り、正面から視線をぶつける。まくし立てている間に心は落ち着いてきた。同時に、自分の言葉に自信が宿る。


他の客たちも食事をやめ、痩せた男と球を回した男、髭の男を順繰りに見た。

ローレに睨まれた痩せた男は、辺りに視線をめぐらせると、耐えかねたかのように叫んだ。


「小娘ふぜいがいい加減なことを言うな!俺がコイツとグルだったって証拠でもあるのかよ!?」


肩で息をする痩せた男とは対照的に、ローレは自分でも驚くほど落ち着いていた。

目の前で起こっている人を見ると逆に冷静になれる、というのはどうやら本当のようだ。


もはや、ローレはこの男達がイカサマをしたということを確信していた。





登場人物紹介9

●リベラータ・レンツィ

魔法騎士団第二部隊所属。

特徴は、横で束ねた明るい茶色の髪、金色の垂れ目。

身長が高く、スタイルもいい美女なのだが、いつも意味不明なことを口にする。

その価値観はかなりズレており、本人には本人なりのポリシーがあるらしいが、周りから見たら「よくわからない変な子」で片づけられてしまう。いわゆる電波ちゃん?

同じ部隊のラミロ・コルティナとは恋人同士だが、付き合うきっかけに至るまでの経緯は一切不明。「ローレッタ・ジュディット」に続くくらいの謎だと言われている。

年齢…21

好き…自分に優しくしてくれる人、ラミロ、キノコ、動物

嫌い…裏表が激しい人

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