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白の魔法師と堕ちた俊英  作者: 夏目潤
第2章 偶然?必然?
11/20

10:救う者と救われた者

はい投稿遅れてスミマ(以下略)

もう定番になってきた前書きでのこの一言ですが…

そうです、昨日でやっと学園祭が終わったのです。解放されました。自由だー

もう疲れたの一言でした。周りも目が死んでました。

そうして学園祭は終了した訳ですが、もう少ししたら今度はテスト週間に突入します。またしても投稿の日にちがあくことが予想されますが、気長に待っていただけたら幸いです。


「おい、早く逃げなくていいのか」

「え、何で――ッ!?」


フィルの声が途中で途切れる。その理由は明白で、リュディガー達が辺りにあるものを掴んで手当たり次第に投げ出したからだ。

フィルは飛んでくる皿を器用によけながら言う。


「逆上して突然暴れだすとか…ナニアレお子様?」

「馬鹿言っている場合か!あの男、また魔法使う気だぞ!」


リュディガーの指先から魔力が流れ、魔法陣を作り出す。先ほどの『水流シャル・クラン』とは比べ物にならない大きさだ。


(こんなところで大きな魔法を放つなんて正気か!?)


ここは建物の二階。下手をすれば下の階まるごと吹き飛ぶ可能性がある。いや、でもあれほどの魔法陣の大きさだ。被害はきっとこの建物だけに留まらない。


「まあまあローレ。この天才魔法師フィルミーノ・デゥランテ様に任せなさい」

「だから『元』をつけるのを忘れ――」

水竜シャル・ミラス!!」


刹那、視界の端で光が瞬く。


次の瞬間には、部屋の半分が濁流にのまれて水没していた。部屋にいた男達が逃げ遅れて巻き込まれる。

とっさに端に飛びのいたローレとフィルだったが、激しい水柱は勢いを増し、床を抉りながら迫ってくる。


素早く辺りを見渡し出口となる窓を確認したが、すでに濁流にのまれてその姿はなかった。


思考が一時遮断されたその時――


消滅イヴェリカ


まるで店で注文を頼むかのようなその気軽な声。

それだけで、部屋全体を侵食しようとしていた巨大な水柱は、初めから存在しなかったように跡形もなく消え失せた。


あれだけの水を含んだはずの床や壁にはシミ一つない。

ただただ、数分前のなにも変わらない部屋の状態がそこにあった。


相違点を見つけるとすれば男達の表情。

いや、男達、リュディガーはもちろんのこと、ローレまでもが目を丸くしていた。


一番初めにその疑問を口に出すことができたのは、やはり付き合いの長いローレならではだろう。


「な、なんだ今のは…『消去イール』ではないのか……?」


よっこらしょ、と若者に似つかわしくない声と共に棒をローブに戻した本人は、いたって普通の口調で言う。


「ああ今のはね、『消去イール』にちょっくら改良を加えた俺のオリジナル魔法。ほら、『消去イール』って結構ずさんな魔法で、消せる魔法の威力にも限りがあるじゃん?でもこの『消滅イヴェリカ』は制限ナシ。というか『魔法が使われた』という事実そのものを消せるんだ」


使ったのは今日が初めてなんだけどね、と呑気に笑うフィルに一同唖然。


『改良を加えた』と気軽に言うが、それがどんなに大変なことだかこの男はまるで理解していない。


通常、新たな魔法の開発、および改良となれば優秀な魔法師数人がかりで取り組んでも数年はかかるらしい。特に、元からあった魔法をいじるとなればそれの倍以上。決まった形がある以上、初めから作り出すよりも時間と手間がかかる。


ユーフォレア帝国で基盤が作られた今の魔法も、何百年という時間をかけて先人たちが編み出した努力の結晶だ。

それに今のような、風、水、火、などの物理的な現象を取り入れる魔法ではなく『存在』そのものに影響を与える魔法となれば、国を挙げて開発しても数年でできてしまうものではない。


――そんな国家単位で取り組むべきものをこの男は一人で、なおかつここ2年の間に作り上げてしまったのだ。


よく部屋に籠って出てこない時があった。まさか、こんなものを作っていたとは。

二大魔法師をも凌ぐ天才魔法師。その称号は伊達ではない。


ローレは先ほどの自分の発言を撤回した。やはり、この男は『元』天才なのではない。その頭脳は今でも健在だ。


(…もっとも、その振る舞いからは想像できないけどな)


今だって、誰も手を出さないのをいいことに、すっかり水に濡れていない状態に戻った料理に手をつけている。どこまでいってもよくわからない男だ。

ローレの視線に気づいたのか、フィルは手に肉料理をもったまま部屋の窓を指差した。


「んじゃ、みんなビックリしている間にズラかろうか。これ以上いても時間とお金の無駄なだけだし」

「誰のせいでみんながびっくりしていると思っているんだ…まぁ、いいけど」


挿絵(By みてみん)


フィルはにっこり笑って窓を開けると、そのまま地上に飛び降りた。ローレもそれに続く。

――その背中にに声をかけるものは誰もいなかった。


窓枠を蹴って地面に着地すると、足首に軽い痛みが走る。いくら衝撃を殺す体勢をとっても、完全にそれをなくすことはできない。

もちろん、魔法の中には『衝撃緩和魔法』もあるが、魔法に頼り切ってはならないというのがフィルの教えの一つだった。必要最低限のことは体術で対応する。ローレはしっかりその教えを守っていた。


そもそも、ドアから出ずにわざわざ窓から飛び降りたのは単に下の階への配慮のためである。

また先ほどの女に、騒ぎについてあれこれ詮索されるのは面倒くさい。それに、今夜は侯爵までもが泊まっているらしい。目をつけられて厄介なことになりたくないというのも本音である。


伸びをして辺りを見渡すと、すっかり日が暮れていた。明かりが灯り、市場はちょっとしたお祭りのようになっている。が、人の姿はまばらだ。

だが人が少ないところに飛び降りることができたのは幸いだろう。先ほどの出来事などなかったかのようないつもの調子で、ローレはフィルに一言。


「……で、今晩はどうする気だ?カケゴトとやらに失敗したフィルミーノ様」


しっかりと皮肉も混ぜられたフィルだが、まるで動じずに頭の後ろで手を組む。ローレとしては少し動じてほしかったのだが。


「うーん……困っちゃったな~ローレが張り切りすぎたせいで儲けられなかったし」

「私のせいにするな、この万年呑気野郎が!それに、あのままだと全財産を持って行かれるところだったんだぞ!」

「というかローレ堂々としすぎ。そもそもあの二人がグルだって俺は見た瞬間からわかってたよ」


次第に市場の中心地に進んでいくに比例して人の量も増えていくのを眺めながら、フィルが驚きの一言を漏らす。ローレは盛大に通行人にぶつかりそうになった。


「は!?それなら何故店に入った時点で言わないんだ、そもそもどうしてそんなことが分かった…」

「ああいう奴らは見た感じで分かるよ。仕草とか、微妙な表情とか。それにしても、あんなに真正面から仕掛けるんじゃなくて、後でこっそり共謀してたことをネタにして脅せばお金がいっぱいもらえたかもしれないのに」

「………お前…本当に真っ黒だな…」


少しでも関心した自分が馬鹿だった。そうだ、2年も共に過ごしてきて分かったことじゃないか。この男はこういう奴だ。


お気楽で、自由人で、働かなくて、何があっても笑って受け流して、ずる賢くて。


でも。


(不思議と、こいつといると気が楽だ…)


お気楽で、昼寝ばかりして働かなくても、横にいるだけで安心する。


――昔では、感じたこともない安堵感。


まるで、心にぽっかりと空いてしまった大きな穴を少しずつ埋めてくれているかのような。


この男と出会って、救われた。それはまぎれもない事実なのだ。


「なぁフィル……」

「ん?珍しいね、ローレが俺を名前で呼んでくれるなんて…一体どういう」

「なんだかんだいっても、お前といるのは楽しい。……感謝している」


珍しく、フィルの顔に驚愕の色が張り付いた。足を止め、こちらを真正面から見られる。

その頬が僅かに朱を帯びていた。調子が出ないというようにガリガリと頭をかく。


「……無自覚って、すごいな」

「は?」

「ううん、なんでも」


本人の言葉とは裏腹に、やはりどこかフィルの挙動がおかしい。

やたらブツブツと何かを呟いたり、突然笑いだしたり。かと思えば突然悶える。通行人の視線が痛い。



新キャラがいないのでキャラ紹介ができません。ピンチです。

何話か前のようにモブキャラ紹介をしても全く楽しくないことに気が付きました。

次話では新キャラが登場する予定なのですが……とりあえずこの場を乗り切らなくてはいけません。と、いうことで作者は悪い頭で考えました。そうだ、何気に10話目(正式には11話目ですが)なので、記念にキャラ達に何かしゃべらせてみようかと。と、いうわけでキャラに登場してもらいましょう。


ロ「……私は今忙しい。登場させるならフィルにしろ」

作「えーでもせっかくの10話記念だよ」

フ「10話も更新してるわりには中身がない話ってのもどうなんだろうね」

ロ「そもそも作者が思いついたことを勝手に書いているいきあたりばったりな話だしな」

作「何故、作者批判に話が傾くのでしょう…」

フ「何、なんか文句あんの?君、そんなこと言える立場だと思ってんの?」

作「作者だぞ!一応作中で一番権限持ってるのは私ではないのかな?」

ロ「というかこうやってキャラにいいように言われている時点で権限とか関係なしに情けないぞお前」

作「ローレさん…あなたそんな辛口キャラだっけ…」

フ「わ~情けな~い」

作「そこ、はやし立てるな!」

ロ「これ以上この会話を続けても無駄だ。読者様が引くだけだぞ」

フ「じゃあもう面倒くさいからサクッと終わらせちゃおう、サクッと」

ロ「終わりの言葉はお前が言え」

フ「はいはい、え~っと、この話を読んでくださっている読者様に、頭が悪い作者に代わってお礼言いまーす、これからもよろしくお願いしまーす」

ロ「……本当にサクッと終わらせたな」

フ「じゃあ帰ろうか」

ロ「そうだな」

作「行ってしまった……何だったんだろう……と、とりあえず夏目はキャラに負けないように頑張りますので、これからもどうぞお付き合いよろしくお願いします」


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