バリの風と、豚の耳
投稿者:みつる 2026年4月1日
作ったぜ。
今日、成城石井の帰り道に、とんでもない男と再会した。
琴音と出会う前に付き合っていた、ジャニーズ系の元カレだ。相変わらず、その辺の女子よりよっぽど女装が似合いそうな甘いマスクをしていたが、驚いたのはその肌の色だ。バリ島で波に揉まれてきたらしく、こんがりと、それでいて艶やかに日焼けしていやがった。
自称サーファーを気取りながら、家で洗濯機の脱水が終わるのを待っているおれとは大違いだ。バリの太陽をその身に宿した彼に比べれば、おれの逆三角形は、ただの「室内用の飾り物」に見えたかもしれない。
「……おれも、いつかバリに行くつもりや」
つい口を突いて出た精一杯の虚勢は、彼がタクシーに乗り込む時のドアの音にかき消された。
敗北感に肩を落として帰宅すると、そこには現実が転がっていた。
プロジェクトに成功したはずの琴音が、おれが用意したゴーヤチャンプルーにも手をつけず、パック入りのミミガーを頬張ったままソファーで爆睡していたんだ。
おれの嫉妬も、元カレの小麦色の肌も、今の彼女には「豚の耳のコリコリ感」ほどの価値もないらしい。おれはそっと彼女の口元からミミガーの欠片を取り除き、残った冷たいビールを喉に流し込んだ。
【コメント欄】
匿名サーファーA: バリの波は、お前のその「小鹿の脚」じゃ一秒で骨折するレベルだぞ。
琴音(?): ミミガーの出どころ、成城石井じゃないよね? 領収書に「コンビニ」ってあったけど、どういうこと?




