36話
「ヴァルドはこれからどうしたい?騎士団長やめたい?」
「…いや、それは辞めたくねぇな。ラディシャに話せてスッキリしたし、もうちょっと頑張ってみたいな」
「…わかった。アズベルには話していい?」
「…ちょっとくらいならいいが。陰口を言われたとか、泣いたとかは言わねぇでほしいな」
「わかった。じゃあアズベルには、"騎士達は実は君の前では猫を被っているだけで、本当は態度が悪くて扱いに困っている"とだけ言おう」
「おう、それならいいぜ。…でも、何で今まで言わなかったのか。とか言われるかな」
「うーん、そうだね」
「まあ、"プライドが"とか"アズベルより優れていると証明したくて"とか言えばいいか」
「いいの?言っても」
「まあ、あいつそこまで嫌いじゃないから。多少弱みを見せてもいいかなって。…正直、一番言いたくなかったラディシャに言っちまったし、めっちゃ疲れたしで、もういいかなって思ってきた」
「自暴自棄にならないで!…でも、アズベルに助けてもらえるなら、楽になるよね?…騎士団長、嫌だったら辞めていいんだよ?」
「騎士団長が嫌なわけじゃねえんだよ。別に」
「そう?…取り敢えずさ、仕事はしばらく休もうよ。一月くらい」
「いや、それは長すぎだ。一週間休む」
「それだけでいいの?体の疲れじゃなくて心の疲れなんだよ?」
「へーきへーき!お前に話しただけでも気が楽になったし、これからはアズベルにも助けてもらえるし。心の疲れだから、長い期間休まなくても。相談するだけで、気の持ちようで結構変わるもんなの!」
「そう?じゃあ、取り敢えず一週間休んで、もっと休みたくなったらまた追加しよう」
「ああ、いいぜ」
「…確かに、表情もすっきりしたね」
「だろ?俺の場合はそんなもんなの。病みやすくて、でも治りやすい。皆がこうじゃないぜ?直ぐには立ち直れない奴が殆どだ」
「そんなのわかってるよ!僕がそうだもん。引きずりやすいタイプ」
「あー、ぽいな」
「うん、ぽいでしょ」
「ぽいぽい」
「ぽぽいのぽい!ぽぽいのぽい!ぽいっ!」
「ふふっ」
「!あれ、ヴァルド笑えるようになった?」
「ああ、確かに。めっちゃくだらないし、どうでもいいことだったのに笑えたな。…ほら、やっぱりもう元気だろ?」
「確かに、ちょっとは元気になったのかも」
「おう。だから一週間だけ休んで、また頑張るな」
「そっか、わかった!」




