35話
「…取り乱してすまん。ちょっと落ち着いてきたわ。ありがとう。
…ラディシャはさ、多分、俺と違ってこんなちっぽけなことで悩むことなんてないんだろうな。俺と違って、もっとメンタル強いんだろうな。…人間関係でめっちゃ悩んでるのもさ、寂しがりやなだけだろ?多分、俺みたいなちっぽけな悩みは起こらないから、思い浮かばないからこんなことになったんだろうな」
「……ご、こめんっ」
「ああ、責めてるわけじゃなくて。…理解しにくい悩みだろうに、共感しにくいだろうに、受け止めて一緒に泣いて謝ってくれるお前ってすげえなって、ありがてぇな思っただけだ。想定してなくて思い浮かばなかったのに、多分お前がこの役割になってもこの悩み方はしないだろうに、それでも俺のせいにしないで謝るお前ってすごいな。…例えば俺が誰かに役職に就く命令したり許可したりして。それで俺は絶対しないような、想定もできない失敗をそいつがしたら、俺のせいじゃなくてそいつのせいにするからさ。そんなこともできないお前が悪いってなるからさ。だから、"想定できなかった自分が馬鹿だった"って言って一緒に泣いてくれるお前は、歩み寄ろうとするお前は。優しいな」
「…そんなことない、こんなの当たり前だよ」
「じゃあその当たり前を許せない俺がおかしいって?」
「いや、そういうことじゃなくて!っていうか、それってもしもの話でしょ?ヴァルドも同じ状況になったら、僕と同じ対応をするよ」
「いや、買い被りすぎだって。お前の中でのヴァルド像って何か良い奴だよな、俺が優しいのはお前だけだ。他の奴にも同じ対応をするとは限らないぜ?」
「うーん、でもやっぱりヴァルドは良い人だと思うよ?」
「…まあ、お前から良い奴だと思われてても損は無いか。寧ろ得か。これからもお前には綺麗な所だけ見せておこう。ラディシャ、お前ずっとその勘違いしてろ!俺は誰に対しても良い奴だ!だよな?」
「…全部僕に聞こえるように言うのはさ、あれでしょ?わざと計算して動いてる所見せて印象下げようとしてるんでしょ!」
「いやだって良い奴に見えてたらさ、ちょっとでも悪い部分見られたら一気に失望されそうで怖えじゃん!」
「そんなことないって!大丈夫だよ!」
「まあ、いいか。うん、今気にすることじゃねぇな、うん」
「そうだね、これからどうするのか考えないと!」




