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青鬼の女帝  作者: ぽつ
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29話 ヴァルドの悩み

 最初、騎士団長になると決まった時は嬉しかった。戦う仕事なのに自分より弱い奴に従うのが嫌だったというのもあるが、それ以上に人生の勝ち組になれると思って嬉しかった。格好良くて給料もよくて、男子たちの憧れの職業、それが騎士。さらにそのトップの騎士団長になれるのが嬉しかった。入り方も良かった。騎士団長を瞬殺して実力が認められ、団長に。カッコイイ気がして、自分がすごい奴になれた気がしていた。そしてアズベルに紹介されて騎士達に反対された時も、こいつらを打ち負かして実力で黙らせるぞって燃えた。障壁があってそれを実力で突破する。何だか自分が物語の主人公になったような気がして気分が良かった。

 …でもそれも時間が経つと終わった。騎士達があまり言うことを聞いてくれない。いや、聞きはするのだがやる気がなかったり、本気でやらなかったりで、皆俺の指示や指導に穴が無いか聞き耳を立てていた。説明不足を指摘されたら「理解できなかったお前らが悪い」と言って無理やり黙らせた。皆不服そうだった。矛盾を指摘されたら「俺より強くなってから文句を言え」と言った。皆鼻で笑っていた。あまりいい言い訳が思い浮かばなくて、どうすればいいのかわからなかった。説明をしっかりして、矛盾のない発言をすればいいのはわかっているが、俺の頭じゃ難しかった。そのくせアズベルの言うことはしっかり聞くし、猫をかぶりやがるので、アズベルからは関係良好に見えているのが腹立たしい。言えばいいのだろうが、自分がアズベルより劣っているのを認めないといけない気がして、プライドが邪魔をして言えなかった。

 騎士が反抗的なことくらい、いきなり見知らぬ奴が騎士団長になったらそうなるのは当たり前だし、ずっと騎士だった奴と比べて劣っているのは当たり前なのだろう。きっと俺が気にしすぎなのだと思う。別に暴言を浴びせられているわけでもないのだから。俺はアズベルほど人間性に優れていない。だから人格者として振舞っても上手くいかないしまとまらない。だから俺は全て力でねじ伏せた。とにかく力を誇示して、「アズベルより強いのだからこいつが団長になるのも仕方がない」「強さだけは信頼できる」「逆らったら痛い目に合うから表面上だけでも従おう」となるようにしようと思ったのだ。でも上手くいかなかった。ザックが入って来たからだ。

 ザックは俺より強かった。だから幾ら力を見せつけても「でもザックよりは弱いしな」となってしまった。ザックは言うことを聞いてくれたのでそれはまだ救いだったが、俺の強さがザックによって霞んでしまった。俺は強さで騎士団長になれたのだと示したのに、「強さで団長が決まるのなら、ザックの方がふさわしいのではないか」と、もしなったら。俺が上手くできなくて"騎士団長"の座まで取られてしまったら。…そう思うと怖かった。だからとにかく頑張った。自分の為にも、ラディシャの為にも。騎士団がまとまっていなかったら、ラディシャも困ってしまうから。とにかく頑張ろう。それしかできることはないのだから。…そうしてある時、俺の無駄に良い耳が、騎士達の会話を聞き取った。

……俺の悪口だった。

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