27話 ザックは人の目を気にしない
「何だと?」
「いや、威力を高めるのはいいんですが、鎧も剣も重いからスピードが落ちるでしょう?」
「そりゃそうだが、流石にリターンのほうが大きいだろ」
「ヴァルド様はどういう戦闘スタイルなんですか?」
「ああ?…俺は完全パワータイプだ。大剣を使っているし、剣を振る速度も走る速度も全て筋力で早く動いているだけ。体が重いからそれしかなかったんだよ、見た目以上に力あるんだぜ?俺は。あと武術も才能があったから結構上手いな」
「俺のスピードとナイフの技術なら、鎧の着ていない関節部分や顔を傷つけることができると思うんです!」
「あー、普通は動いてる相手に細い隙間を狙ってリーチのないナイフなんかで切るのは不可能なんだが、確かに。お前ならできるかもな!」
「鎧も剣も、俺には無い方が戦えると思うんです!」
「確かに。騎士って言うから鎧も剣も必須だと思っていたが、まあ戦えれば何でもいいのか?でもせめてレイピアか短剣じゃないか?」
「スピード重視でナイフがいいです」
「まあ、いいか。それで」
「あと、俺レビーゲルに顔が綺麗ってずっと言われていて、人に顔が見られるの苦手なんです」
「ん?」
「あと、殺しの経験で体の動きを見られるのも嫌なので、ローブを着て口元も布で隠そうかと。仮面は視界が狭まるのでしたくないです。」
「つまり、ローブ着て口元隠して鎧無しでナイフで戦いたいと?…どっからどう見ても暗殺者か死神だろそれ!正義の騎士には見えねぇよ…」
「ローブも落ち着くので黒がいいかなって」
「完全に悪役の見た目じゃねぇか。お前吊り目だしクマあるから口元隠したら悪役顔になりそう、肌も白いしホントにあだ名とか死神になるんじゃね?」
「まあ、それはどうでもいいです」
「おい、…まあいいか。せっかく騎士達が怖がらないように話したのに、自分から怖がられる道に行くのかよ」
「別に怖がられたいわけじゃありません、たまたまそうなってしまうだけです!」
「はいはい、ザックの意思を尊重しまーす。お前は鎧なしでナイフで体と顔隠して戦います!はい、話し終わり!さっさと訓練するぞ、ザック」
「了解です!」
「はい、ストレッチから!」
「はい!」
――――――――――
「ヴァルド様」
「何だ、アズベル?」
「…最初は、貴方はいきなり騎士団長になったので、色々苦労するのではないかと思ったのです」
「…お前がさせたんだろ」
「ええ、なのでサポートのつもりで副騎士団長になったのですが、必要ありませんでしたね。貴方の的確な訓練方法やアドバイスのおかげで、段々騎士達もヴァルド様を慕い始めております!ザックとの関係も心配しておりましたが、上手くいっているようで本当に素晴らしいです!」
「騎士達が俺を慕い始めてる?ザックとの関係が上手くいっている?…ハッ!」
「?本当のことですよ?」
「…だといいんだが…。」
「?」




