16話 奴隷を助けよう
ということで、僕は皇帝になった。何か本当は即位式とかをやるものらしいのだが、人前に出るのも顔を出すのも嫌なので断った。顔を隠している僕の噂は広まっていたみたいで、特に違和感は持たれなかったらしい。で、今日はヴァルド、レオン、アズベルと一緒に皇城に入る日だ。
「わあ、大きくて綺麗なお城だなぁ…こ、これが僕の物に…。すごいなあ」
「早く行こうぜ。奴隷達が捕まってるんだから、急いで助けないとだろ?」
「行ったことはありませんが、奴隷達の居場所は知っております。行きましょう」
「うん、助けないと!」
「ここの部屋が、奴隷達の居住空間です。…開けますね?」
―ギィィ…
そこには老若男女、様々な種族の者達が一つの部屋に閉じ込められていた。とても不衛生で、悪臭が漂う空間。奴隷達は皆やせ細っており、体中が痣や傷だらけだった。
「これは…酷い」
「だな」
「…ああ、やはり許せません、レビーゲル。そしてこれを止めることができなかった私自身にも」
「皆さん。僕たちは、あなた達を助けにきたんです。もう、大丈夫ですよ」
「……ほんと?、ほんとうに、たすけにきてくれたの?」
「うん、そうだよ」
「もう、いたいことしない?」
「しねぇよ」
「家族に、娘に会えますか?」
「ええ、勿論」
「…ご飯を、お腹いっぱい食べれますか?」
「はい、あったかくておいしいものを、いっぱいあげますよ」
「…ぅ、ぅえ…、うえぇぇぇん!」
「よかった、よかったねぇ、坊や。もうあいつに虐められることは、ないんだよお!」
「あっ、あの!ザックくんは助かりますか?」
「すみません、ザックとは?」
「一人だけ、別の部屋にいる子がいるんです!風の精霊で、見目も良いのであいつのお気に入りだったんです!!」
「風の精霊だと!?」
精霊。一般的な種族のように生殖で生まれるのではなく、原理は不明だが自然発生でしか生まれない、珍しい種族。それぞれ火、水、風、岩属性がおり、その力を扱える。
「そんな珍しい者までいたのですか!」
「ここは僕とアズベルに任せて、二人はそのザックに会いに行ってください!ザックはどこにいるんですか?」
「この部屋の奥のあのドアです!あの子が一番ケガがひどくて、早く!!」
「はい!」
「開けるぞ!」
ガチャ
そこには、手枷と足枷をつけられ、日に焼けていない白い肌にたくさんの傷を付けた、ボロボロの黒髪の少年が横たわっていた
「君、大丈夫!?」
慌ててラディシャが抱える
「…ぁ、だれ、だ?」
「お前を助けに来たんだよ」
少年が目を開けると、綺麗な緑色の瞳が覗いた。…吊り目で、目の下にクマがあるが、それでも確かに整った顔立ちだった。
「…緑色の瞳。確かに風の精霊の特徴だ」
「枷、ぶっ壊すぞ。…って、壊れねえ。俺の力で無理とか、どんだけ逃がしたくなかったんだよ」
「僕が壊すね」
―バキリ
握りつぶした
「!俺が壊せなかった枷を、あなたが?」
「うん。僕、青鬼なんだ。こう見えて強いんだよ」
「そう、か。俺は助かったのか」
「ああ、もう大丈夫だ。ザックとやら」




