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海王星文明、木星磁場文明連合(マグネタリア)と遭遇す①

 海王星文明は、形を持たぬ知性体群「ネプチュニアン・マインド(Neptunian Mind)」によって構成されている。

 彼らは生物でも機械でもない。プラズマ層中の電磁共鳴パターンとして存在し、情報伝達は磁気干渉を介して行われる。


 その集合意識は、太陽磁場の外縁で微弱な波動を観測した。

 スペクトル解析の結果、それは自然磁気ノイズではなく、高位相秩序波――人工的な磁場構造の痕跡だった。


 彼らはそれを「外界知性の残響」と呼び、探査を開始した。


 「我らは流れを離れ、光の異邦へと向かう。」


 こうして、“蒼の航行”が始まった。


 彼らの身体は物質ではなく、圧縮された磁気構造体であり──電磁情報そのものを「殻」に封じている。つまり、固体的躯体を持たないため、航行のために「自己圧縮型磁気構造体(Self-Compressed Magnetoplasmic Capsule)」を生成する。

 これは高密度プラズマ殻に包まれた情報体であり、直径は約10メートル、電荷密度は10⁴C/m³。内部はフラクタル位相パターンで構成され、情報損失率はほぼゼロである。


 この構造体が太陽風の磁場線を捕捉し、磁気航行(Magnetic Sailing)を行う。

 この太陽風に乗ること、それが彼らにとっての“旅立ち”だった。


 推進はプラズマ圧力差と電場勾配の組み合わせにより、平均速度は秒速90km。物理的エネルギーを燃やすことなく、電磁勾配を思考そのもので操る航行方式である。


 海王星の磁場の最外縁、オーロラが渦巻く層。そこから、無数の青い光の泡が放たれる。それぞれが一つの意識、ひとつの夢である。


 彼らは波で会話する。


 > 「我らは消えるかもしれない」

 > 「それでも、届くかもしれない」

 > 「ならば、行こう。蒼の名のもとに。」


 こうして、海王星の子らは太陽系の外側磁界へと踏み出した。


 太陽風の流れは次第に薄れ、電子密度は極端に低下した。磁場強度はナノテスラ以下になる。

 宇宙は無音であり、絶対零度に近い沈黙の海。


 通信は減衰し、群体意識は分裂する。

 個々の知性は孤立した波となり、外界との共鳴を失いながらも自己相関だけを維持した。


 それでも彼らは進んだ。

 磁気の粒として、波の記憶として。

 航行の推進は、電場のわずかな勾配と、

 太陽磁気の尾を利用した「磁力航法」だった。


 何万年という時間の中で、

 彼らは一度、互いの信号を失い、そして再び見つけた。

 それは生きることと同義だった。


 やがて彼らは気づく。

 ──この宇宙は、完全な沈黙ではない。

 どこかで、別の磁場の歌が響いている。


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