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木星の衛星エウロパから来ました①
1610年のある日の夜──イタリアの学者ガリレオ・ガリレイは、自ら改良した望遠鏡を木星に向けた。すると、彼の視界に四つの小さな光点が浮かび上がった。
のちに「ガリレオ衛星」と呼ばれる、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストである。
それらの光点の位置が日ごとに変化していくのを見ると、こう呟いた。
「木星の周りを回っている」
地動説を裏づける発見である。
その中の一つ「エウロパ」は、ギリシア神話の女性「エウローペ」に由来する。フェニキアの王女であり、ギリシア神話の主神ゼウスに愛された女性である。木星=ゼウスというイメージから、もっとも木星に近い衛星にその名が与えられた。
余談であるが、エウローペの名は後世、「ヨーロッパ大陸(Europe)」の語源となったとされている。
その「エウロパ」は、彼女の美しさとは異なり、氷に覆われた衛星である。
だが──その氷の下に何があるのか、人類は知る由はなかった。