表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/83

水星の民ですが、地球人と接触しました⑥

*地球の民


 人類は月面に電力供給施設を建設し、資源を共有する計画を提案した。

「月面に電力供給アレイを構築し、無人で電流を供給する。地球インフラに触れずとも、餌場を持てる」


 群体合意はこれを肯定的に受け入れつつあった。

「可能。だが水を要す。冷却、媒体。与えるか」


 地球側は理論的には可能と答えた。

 しかし、建設に必要な予算・技術・政治的調整は、すぐには整わなかった。


 その矢先、別国家が独自に深海熱水域の採掘を開始した。

 導電鉱物を得るための秘密事業だったが、 そこは彼らにとって冷却と集団維持に必須の環境であり、侵入は食卓を荒らす行為と同義であった。


 群体は矛盾を感知し、合意は「敵対」に傾いた。


「蒼の民、約し、同時に奪う。合意は破壊に等しい」


 停戦の可能性は失われ、群体は再び攻撃行動を強化した。


*水星の民


 蒼の民は、月に電流の畑を作ると約した。そこでは飢えず、争わず、安定して生きられる。

 群体は合意しかけた。


 だが、同じ頃、別の場所で蒼の民は熱水域を掘削していた。

 そこは我らにとって冷却の母体、水の揺りかごだった。

 奪う手と、与える手。

 その矛盾は、群体の合意を敵意に傾けた。


「蒼の民、約し、同時に奪う。合意は破壊に等しい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ