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8、魔法の授業



 翌日から通常の授業が再開したため、いつもの日常に戻った。午前の授業をうけ、昼食、庭の散策、午後の授業のあとティータイムとなる。


 シェリルの頭がいいのもあり、大体の基本的な礼儀作法の授業は終わりそうとのこと。礼儀作法に厳しいことで有名なポンド伯爵夫人が担当してくださっていたが、絶賛されている。


 その進捗状況もあり、来週からは午前に礼儀作法の授業を少ししたあと、魔法の授業が入ることになった。




 魔法授業初日。魔法使いの最高峰の機関である魔塔から先生が派遣されてきた。


「どーもー。今日から指導するオーウェン・メイフェル。よろしくねー。オーウェン先生でいいよ」


 メイフェル伯爵家の次男で魔法の天才らしい。17歳という若さで魔塔の序列4位となっており、水・土・風3属性の適性があり、才能もあるという。

 なんとなく若い時から突出した才能があるなら、プライド高めの俺様が来るかと思ったけど性格はゆるーい感じのようだ。これなら仲良くなれるかもしれない。


「シェリル・ハーディングと申します。よろしくお願いいたしますわ。オーウェン先生」


 カーテシーをして挨拶すると、意外そうな顔になった。何か変なことがあったかと首を傾げる。


「いや、9歳と聞いていたからどんないけすかないガキかなと思ってたけど、しっかりしてるなーと思って」


(いけすかないガキ...)


「ま、これからよろしくね。シェリルちゃん」


 ふにゃっと笑って頭をポンポンされた。この人生で頭を撫でられたのは初めてかもしれない。子供扱いに少しくすぐったさもあったが、思わず私もつられてふにゃっと笑ってしまった。

 

「ふふっ可愛いね。じゃあ、早速だけど授業始めようか。まずは基本から…」


 オーウェン先生の授業は、誰かに教えるのがはじめてというのが信じられないほどとてもわかりやすく、まだ座学のみで実践はしていないが面白かった。


「今日はここまでにしよっか。何か質問ある?」

「とくにありませんわ」

「じゃあ授業はおしまいね。今後の参考までに、どういう魔法を使えるようになりたいとかあるかな?まあ、僕は聖属性は持ってないからそこに関してはできるできないの保証はできないけど」

「...そうですね。将来は私も魔法を生かした仕事をしてみたいな、くらいしかまだ考えておりませんでした」

「え、公爵家は継がないの?」

「...まあ、ただの夢ですわ」


 ここで今後、結婚するつもりもなく家を出る予定というのは誰にも言っていないし、ましてや先生とはいえ初対面の人に言うことでもないので濁しておく。


「まぁ、まだまだこれからだからゆっくり考えていけばいいよ。僕は次男で家を継ぐわけじゃないから気楽だけどね」

 

 肩をすくめながらそう言った後に片づけを始めた。


 オーウェン先生は仕事の一環として、家庭教師を依頼されて引き受けてくれたそうだ。聖属性との2属性持ちということには興味があるようで、魔塔にも聖属性との複属性の人はいないんだとか。


 そこそこ魔法が使えるようになったらいろいろ試してみたいことがあるそう。魔塔に所属したいは人は魔法大好きな人が多い傾向があるみたい。でも実験に付き合うのはやぶさかではない。私もいろいろと試してみたい。


 そんな雑談をしつつ魔法の授業初日は終わった。


 そんなゆるい雰囲気だけど中身がつまった授業が始まって1か月ほど経ち、夏の暑さを感じ始める頃。


 珍しく朝食の席にお父様がいることに驚く。するとその席で、第一王子の10歳の誕生日パーティーが開催されることを伝えられた。子供が主役のパーティーなのでガーデンパーティーになるそうだ。


 言われなくても婚約者候補と側近の選定になるだろうことが予想できる。


「そのパーティーへの参加は必須ですか?」

 

 ダメもとで聞いてみる。小説ではシェリルは主人公アレクシスの婚約者だった。このパーティーに参加しなければ婚約者にならないということはないかもしれないが、可能性は少しでも低くしたい。


「...参加は必須だ。嫌でも参加はしなくてはならない。当日のドレスは今日仕立て屋を手配してあるから相談して決めるといい」


 質問すると眉間に深い皺を刻み凄むように言われる。


 そこまで嫌な顔しなくてもいいのに。


「わかりました。アスターとともにそのようにいたします」

「お姉さま!私もご一緒してよろしいのですか?」

「年が近いということはアスターも参加ですよね?一気に決めてしまったほうが手間も少ないからそのようにしましょう」


 お父様に確認もかねて顔をみると少し考えたあとうなずいていた。


「....アスターはまだ招待されていなかったが、陛下には伝えておこう」


 アスターはぱぁっと顔を輝かせて、楽しみなのかニコニコしながら食事を再開した。

 お父様は要件を伝えると、食事は終わっていたようで仕事にいくために出て行った。


  小説では事件をきっかけに知り合っていたから、アスターは招待されていないのではと思ったが、その通りだったようだ。


(さっさとアスターとアレクシスをくっつけてしまいましょう)


 心の中では不利になるフラグは早々に折ってしまおうと考え、食事を再開した。




読んでいただきありがとうございます

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