41、あっさり解決?
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『私…花火というものが、どういうものかわかっておらず…ヴァネッサ様に命じられるがままに火を…。ヴァネッサ様には安全は確認されているものだから、そんな大事にはならない、シェリル様を少し驚かせるだけだ、という風に聞いていたので…。まさかあんなことになるだなんて…。本当に、取り返しのつかないことをしてしまったと…』
『…それを、どうしていつも…その、敵視している私に教えてくれたの?』
どうして私に告白してくれたのか。理由がわからず信じていいのかもわからない。
するとアマリアは、後悔の表情を浮かべていたところから泣きそうな顔になり話出す。
『…私、火をつけたときに、あの爆発に巻き込まれたんです。吹き飛ばされたときにあちこち怪我をしていたのですが…。もう顔や体、全てが痛くて熱くて…。近くにたまたま鏡の破片が落ちていて、片目しか開けることができませんでしたが覗き込むと、もう顔面やけどでただれていたんです。全身痛くて熱くて、さらにこんな顔になってもうパニック状態でした』
『それは…』
そうなるだろうと思う。貴族令嬢として育ってきたのなら見た目にも気をつかっていたはず。痛みにも不慣れなはずだ。それが全身の痛みに加えて、自分の顔が焼け爛れているところを見てしまったらショックも大きいだろう。
『どうすることも出来ずにいたところで、水が降りかかってきたんです。びしょ濡れになって、気づいたら怪我が全部治っていて……。シェリル様が魔法を使って治してくれたのだと、少ししてから知りました』
事故から期間が少し開いて手紙が来た理由がわかった。
アマリアはそういうと一口紅茶を飲み、微笑みながら私を見つめる。
『…本当に、感謝しているんです。あのままでは私、生きていたくないと命を絶っていたでしょう。それに…シェリル様のおかげで死傷者が出なかったとはいえ、私は何も関係のない人たちを殺してしまうところでした。こんなことになってまでヴァネッサ様に従う気はありません。そして罪を…償いたいと思います』
まっすぐに私を見据えたアマリアは、覚悟を決めたすっきりした顔をしている。
『正直…ヴァネッサ様は私たちのことを都合のいい駒としか思っていないのです。何か命じたことを失敗でもすると、センスで打たれるのです』
『え?』
『……まぁ、それはもうどうでもいいことです。何にせよ、私がしたことは許されないことです。如何なる罰でも受ける所存です。それと、本日お話したかったことがもうひとつあるのですが…』
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それが、今日この立太子を祝う夜会での顛末だった。たまたまヴァネッサが誰かと話しているのを聞いたらしく、それを教えてくれた。
そのため、ちょうどあった『アレクシス殿下は新緑祭の事故での何かをきっかけに仲違いし、婚約者に愛想をつかせた』という内容の噂を利用して、油断させるとともに、アレク様が私から離れるタイミングを作ってみたというわけだ。
その噂は、アレク様がとても怖い顔で私を連れて王城に戻ったところを目撃されたことで、尾鰭はひれがついて広まったようだった。
よくもまぁそれだけでこんなになるものだなと感心してしまう。
オーウェン先生が来なくても、王家の影たちが動いてくれる予定であった。
オーウェン先生は一通り聞き終わると納得したのか、まぁシェリルちゃんが無事ならいっかと言って私に微笑みかける。
「本当は噂が本当だったらと思って、君を探していたんだけど……噂は噂だったみたいだし」
「当たり前だ。私がシェリルを手放すなど、死んでもありえないことだ」
アレク様はオーウェン先生を睨みつけて、私をぎゅうぎゅうに抱きしめてくる。
「う、うぐっ」
力が強すぎて内臓が飛び出そうになり、予期せず声が漏れる。
「っ!?す、すまない」
はっとしたアレク様は慌てて力を緩めるも、それでも私を離そうとはしない。
顔をアレク様の胸に押し付けられている私は、アレク様とオーウェン先生の間で火花が散っていたことなど知る由もなかった。
「あ、あの、アレク様。そろそろ会場に戻らないと……」
「……そうだな。ひとまず戻ろうか。…オーウェン、これはまだ秘密裏にことを進める必要があるから他言無用だ」
「…かしこまりました、王太子殿下」
わざとらしく丁寧に返すオーウェン先生にアレク様の顔に青筋が立った。
私が裾を引っ張ると、一変してにこやかな甘さを含んだ顔になり、腰に手を回して私を促した。
アマリアは自分から罪を償うことを申し出たため、今日のこの情報が有益であればという条件付きではあったが減刑される予定であった。
本来であれば死傷者が出ていたであろう事件に、王族や高位家族であるアレク様やお父様も治ったとはいえ怪我を負ったこともあり、処刑か生涯幽閉されるものであった。
今回の情報は先ほどのことを鑑みると有益だったことから、おそらく修道院送りということで落ち着きそうである。
神に祈りながら罪を償い、頑張ればシスターとなって生活していけるのであれば、牢屋に幽閉されるよりかはその方がいいだろう。
庭園を後にし会場に戻り、まだ未成年なこともありもう帰りの挨拶を陛下にする。
今回の夜会は主役は王太子のアレク様なこともあり、いつもより開始時間が早く、未成年は早めに帰れるようになっている。
会場に戻った時、私とアレク様が以前と同じくぴったり寄り添っていたため、その様子を見た人たちは仲直りをしたと思ったようだ。アレク様に娘をつれて挨拶に行っていた貴族がピタッといなくなった。
そのあとはいつも通り挨拶して終わった。同年代の人たちの反応はほっとしている人たち半分、恨みがましく見つめられたのが半分。
まあ、アレク様は人気があるから婚約者を狙っていた人も多いのかもしれない。
アレク様はいつも通りの距離感になり、ご機嫌だ。今日いつもの距離に入れなかったことの鬱憤を晴らすかのようにいつもより腰に回している手の力が強かった。
そして、本日の主役でもあるアレク様はまだ帰れないようで、私だけひとまず先に下がることになった。
会場からでて廊下を進む。パーティー会場から遠ざかるにつれて静かになっていく。
コツコツと歩く音が響くなか、ある客室の前を通りがかった時。
いきなり扉が開き腕をとられて中に引きづりこまれた。
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