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前世、妹と恋人に裏切られた悪役令嬢は恋愛なしの穏便な道を平凡に生きていくはずだったのですが...  作者: はな


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27、お父様という人

国王陛下?目線の話になります。


 クロードは昔から人と関わるのが苦手だった。口数も少なく、無表情で無愛想。

 そんな子供だったため彼に近づきたがる人間はそう多くはなかった。


 ただ、見目もよく次男だが公爵家ということで繋がりを持ちたがる者はいる。親から仲良くするように言われている子供は多く、そういった人間に関わることが大層嫌そうであった。


 唯一近くにいるのを許されていたのが兄であるエリオットと、幼馴染である当時王子だった現国王のランドルフ、そしてシェリルの母親であるアシュリーだった。


 シェリルの母親であるアシュリーがどうやってハーディング兄弟と仲良くなったのか詳しくは知らないが、パーティーではよく一緒にいるところを見かけた。


 気難しいクロードとアシュリーは傍目に見ても仲睦まじく見えた。


 しかしそんなとき、アシュリーの魔力鑑定が行われた。アシュリーの魔力量はとても多いと鑑定前から言われていた。魔法が使える貴族は魔力量が多い人間の魔力を少しだけ感じとることができる。さらに王族は身近な人の魔力であれば判別することもできる。


 しかし、魔力鑑定で出た結果は魔力量は多くとも魔法が使えない、”能無し”と言われる体質だとわかった。


 ひと昔前は”能無し”は嫌忌される対象だった。

 そもそも魔力があるのに魔法が使えないなど、貴族の中ではありえないとされ、見下されるものだった。

 また嫌忌される最大の理由。それは魔力暴走を起こすことだった。

 魔法が使えないとはつまり魔力が体内に貯まっていくことになる。普通のそもそも魔法が使えない平民は魔法を使えるまでの魔力もないので問題ないのだが、魔力量が多いのに魔法が使えないと身体がその負荷に耐えられなくなるのだ。

 そのためだいたいは20歳を迎えることができず、短命のことが多い。そして魔力暴走でその命が失われるときには周りを巻き込んで亡くなることが多く、骨も残らない。


 今でこそ、だいぶ研究も進み定期的に魔力を発散すれば短命とは言わないまでも生きながらえるようになった。

 そして次代へ受け継ぐ魔力も大きいものになるということもわかり、そこまで嫌忌されていない。しかしクロードたちが幼いころはまだその考えも浸透しておらず、昔ながらの体裁を重んじている頭の固い貴族のなかではなおさら嫌忌の対象であった。


 アシュリーへの家族からの扱いは娘というものから奴隷とでもいうような扱いに変わった。

 姉のナターシャは昔から妹であるアシュリーの方が見目が良く、もてはやされていたこともあり、その鬱憤をぶつけるかのように小間使いとして扱い、暴力をふるっていたそうだ。



 そんな状況を知ったハーディング兄弟はアシュリーを助けるべく策を打つことにした。

 それがエリオットとアシュリーの婚約であった。


 この国では通常、よっぽどのことがなければ長男が家督をつぐ。

 エリオットは将来の公爵夫人という立場をアシュリーに与えることでアシュリーを守ろうとした。そして公爵夫人になるための勉強という理由で公爵邸で生活できるよう取り計らった。


 最初は難色を示していた公爵夫妻だったが、話術に長けたエリオットが夫妻を説き伏せた。伯爵家のほうでも厄介払いができて、さらに公爵家と縁ができると思ったのか二つ返事だったそうだ。


 かくして婚約は成立した。


 そんなことがあってもクロードとアシュリーは変わらず仲が良くみえた。だいたいはエリオットも一緒にいつも3人でいることが多く、エリオットは会話している2人を嬉しそうに見ていた。


 しかししばらくして、ときおりクロードは苦しそうにアシュリーを見つめているところをよく見かけるようになった。その逆もしかり。


 アシュリーが公爵邸に居を移し、公爵夫人になるべく勉強が始まり、5年ほどたったころ。


 クロードとアシュリーが昔から想い合っているのはみていてわかっていた。


 しかしエリオットに救われた恩があるアシュリーは、クロードへの想いを認めるわけにはいかない。

 クロードも大切な兄の婚約者に横恋慕してはいけない自分を律していた。


 それを察していたであろうエリオットが失踪した

──

 クロードは、大切に想っていた兄にそんな決断をさせてしまったと思ったのか、見ていられないほど憔悴していた。しかしそんな中、アシュリーとの婚約はクロードが継続して引き継ぐことになった。


 しばらくして回復してきたときには、アシュリーと仲良く過ごしていることも分かったので安心した。


 そして2年の婚約期間を経て無事結婚した。


 また結婚式ではエリオットからと思われるお祝いと手紙が匿名で届いていたとこっそり教えてくれた。

 魔法を使えることを隠しつつではあるが、エリオットも唯一と思える女性と巡り合い、また仕事も軌道に乗ってきたところだそうだ。とクロードは普段は無表情なのが嘘のように泣きそうな顔で嬉しそうに言っていた。


 そしてその1年後、クロードよりも魔力量が多く、瞳はクロードだがアシュリーによく似たシェリルが生まれた。そのころはもうしっかり親バカになっていて、無表情でもわかるものにはわかるほど顔はでれでれだった。

 ランドルフの息子のアレクシスも1歳年上と年齢も近いことから婚約の話をやんわり打診するも、王命でそんなことをするなら国をでる、とまで言われたので即刻取り下げた。


 そのころにはもう宰相の補佐についており、次期宰相と周囲の人間から一目置かれていた。国から出られたらたまったものではなかった。


 そんな幸せな生活が3年ほど続いたときに、アシュリーの容体が悪くなった。魔力が子供に移ったことで魔力暴走は起こしていなかったが、出産後から魔力量の変化のせいかたびたび体調を崩すようになっていた。最近魔力がまた増えだしたことが影響しているのか悪化したようだった。


 その療養のために王都郊外の、馬車で3日ほどのところにある別荘にアシュリーとシェリルはいくことになった。休日には会いに行くことを約束してクロードとアシュリー、シェリルは別れた。



 しかしそこで悲劇が起こってしまった──



読んでいただきありがとうございます。

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