1話
『』は初登場の登場人物紹介。モブは除く。
2回目以降は前書きに書きます。
20XX年1月後期。
井上達也はいつも何ら変わらない普通の日常を過ごしていた。
『
井上達也
大学で経済学を学んでいる。
』
そして今は、小学校からの幼なじみの康一と一般人の群れに紛れ込むようにして、スマホをいじりながら電車に揺られていた。
『
成人の日、服装どうする問題
最近では、成人式のための用意が大変。わざわざ地元に帰るのがめんどくさいなどの理由で、参加人数が少し減少傾向にある模様
、、、、
』
そんな文字がSNSのニュースで流れてきた。
「な~にみてんの?」
隣にいる康一が話かけて来た。
『
佐々木康一(ささき 康一)
達也と同じ大学で経済学部
達也とは小学校からの幼なじみ
』
「そういえば、もうすぐ成人の日だなって...」
「そうじゃん!来年は俺達の番かー。あれ来た?来年の成人式の招待状。来るのバカ早いよね~。」
確かに、昨日招待状が来ていた。
ただ
「内容がかなりおかしかったけど。」
「俺見てないや。おかしかったって?」
「それがさ、日付が来週の成人の日なんだよ。来年の成人の日じゃなくて。」
「それだけ?んまぁ。たまたまミスっただけじゃね?」
そんな大事なことをミスるものだろうか。そのミスが僕だけとは限らないし、一斉に送られたのであれば、送られた招待状の全部の日付がおかしいことになる。
「日付だけじゃなくて、集合場所もおかしいんだよ。中学校だよ?僕達が通ってたあの。」
成人式をやるとしても、どこかのホールなのに、二次会とかで使われそうな場所である。
「まじぃ?変なの。そういえば成人式で思い出したんだけど、中学校の時の同級生、どのぐらい覚えてる?」
「中学校の同級生かー。思い出そうと思えば思い出せるんじゃない?ほら、通ってたとこがこの辺じゃ珍しいし。」
そう。母校の中学は市内の他の小学校と合併することがなく、エレベーター式だった。
「実質9年間ほぼほぼ変わらないメンツで過ごしてからな~。高校も同じ人達とかなら、スっと思いだせるんだけどね~。忘れるよな~。忘れるというより、記憶の中には確実にあるんだけど、その記憶が薄くなってるっていうかんじ?」
「あ~。わかる。僕もそんな感じ。」
「なぁ、あれって...」
佐々木に肩を小突かれた。佐々木の差す方に目を向けると、一瞬人混みに紛れていて誰を差しているのかわからなかったが、その人混みの中にたしかに見覚えのある人がいた。
「金剛のぞみ...?」
友人と話しているであろう集団の一人の名前を呟いた。