表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
触手とダンジョン攻略  作者: 桃野産毛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/143

閑話“強欲”

 僕の伸ばした“霧もや”から、

櫻葉さんがあべのハルカスから飛び立ったことを感知する。

 彼はとうとう空を飛ぶんだ。

羨ましい。

 今の僕なら飛べなくないが、

あそこまで自由自在には無理だ。

蝶々程度が限界。


「それでも十分すごいだろ。

自分を卑下するのは呼吸と同じか?」


 右耳から聞こえる声。

藤堂さんが、

戦闘機の機銃で最後のバイコーンを討伐した。

こちらもさすがだ。


「“同調”すれば、あのスキルも使える。」


 そうだろうけど、

僕は戦闘機の操縦ができない。

あんなに沢山の重火器の扱い方もわからない。

 彼はそれらを自分の力で扱っている。

その上に“スキル”がある。


「今なら、

壁の周りのハンターたちから“スキル”を借り受けられる。

無限のスキルをもって、壁の中へ突っ込むんだ。」


 そのスキルを即座に理解して使いこなせなきゃ、

なんの意味もないよ。

 そういえば、

お前は櫻葉さんのスキルは同調しようとしないな。


「……。」


 わかるよ。

“同調”したから、わかるよ。

櫻葉さんが弱ってるのが。

 あの時の合体時も弱ってた。

でも、今の櫻葉さんはポーション事件の時より弱い。


「……。」


 僕のせいだ。


「……。」


 ほら、こればっかりはお前も否定しない。

僕が魔王と戦わなかったから、

櫻葉さんが追い詰められて。

連戦を強いられ、でも、戦った。


「……。」


 役者が違うよ。

彼と僕とでは。

だって彼は今、

今まで積み重ねた反復訓練だけで身体を動かしてる。

うまく動かない身体を、感覚とのズレを、

億千万を越える鍛練で補ってる。

 “同調”してるから、

魔法による補助が微々たるものだとよく分かる。

むしろ、あの三人は弱ってる彼にあわせて、

魔法も弱めにしてるみたいだ。


「確かに、アイツは弱ってる。

だが、それは戦ったからだ。

そして、今も戦ってる。

 お前は、逃げてる。

逃げて言い訳してるだけだ。」


 ……痛い所を突いてくるね。


「本当にお前は、

行動しないくせに欲しがるんだな。

 欲しいなら、行動しろよ。

今のはお前には力があるんだ。」


 欲しがるってなんだよ。

羨むのはいいだろ。


「お前は諦めたフリをしてるだけだ。

本当に諦めたんだったら、

大暴れしてるはずだ。

分かるよ、お前は俺だからな。」


 うるさい。

暴れないよ。

僕は“大和桜”を背負ってる。

まだ下ろす気はない。

 だから、今も頭を下げてできることをしてる。

黒川さんは僕の采配が原因で、こうなったんだ。

ケジメは僕でつけなきゃ。


「それがダメなんだよ!

今必要なのは、ケジメじゃねぇだろ!

 なあ?!

助けに行けよ!

お前がよ!」


 右耳から聞こえる怒号が、いつもより痛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ