表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
触手とダンジョン攻略  作者: 桃野産毛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/143

閑話“進行”

 空を覆う程の化物の群れ。

星のようなそれ一つ一つが、

地上へ魔法を放って来る。


「地下だ!

地下鉄へ!」

「盾持ちは並べ!

避難路を確保しろ!」


 それでも“大和桜”たちは、

いつものように救援活動を行う。

逃げ惑う人を集め、助け。

誘導して逃がす。

 仲間の誰がいなくなっても、やりとげる。


「弓は届かない!

ボウガンは?!」

「届いた!」

「大弓なら、届くぞ!」


 防戦一方ではない。

彼らは降り注ぐ火球や石つぶてをかわしつつも、

空へ向けて矢を放つ。


「絶対行かせるな!

全員助けるぞ!」


 警察も一般のハンターも、

やっぱり彼らを頼った。

今まで積み重ねてきた実績は伊達じゃない。

 彼が積み重ね、

彼女が誇った実績は簡単には崩れない。


「見ろ!」


 ハンターの一人が夜空を指差した。

そこには、空を駆ける闇夜より黒い人影が見える。

 その人影は手にしたなにかを空へ放った。

次の瞬間には卵型のモンスターに風穴が開き、

次々に落下していく。


「あっちもだ!」


 次に指差した先にいたのは、

異形だった。

 下半身は六本足の巨馬。

上半身は巨人。

頭に角を生やした緑の一つ目が空を睨んだ。

 異形が何かを空へ向けて構える。

そこから放たれた光が、

無数に枝分かれして空を飛ぶモンスターを貫き落とす。


「二人が来たぞ!」

「放れろ!

巻き込まれるぞ!」


 彼らはG県の“大和桜”メンバーから聞いていた。

あの二人が来たらとにかく離れるように、と。


「すげぇ!」

「バカ!

見とれてると巻き添え食うぞ!」


 見とれた仲間を叱咤したハンターの目の前に、

異形が降り立つ。

それは目の前の二人に声をかけた。


「“大和桜”のメンバーか?」


 二人は混乱しながらも、なんとか首を縦にふる。


「モンスターの行き先は田園調布だ。

避難は東京から放れるようにと通達しろ。

 後、避難路に地下は止めろ。

大量の水を放つやつもいる。」


 二人は異形から端的に伝えられた情報を、

的確に無線で全員へ伝える。


「お二人はどこへ?」

「田園調布のダンジョンだ。

元締めを殴りに行く。」


 人のようなモンスターのような、

ロボットのような異形は光の塔を指差してそう言った。


「影響範囲は世界中全てだ。

安全地帯はないものと思え。

とにかく東京から放れろ。」


 そう言い残して、異形は走り去る。

ハンターたちはその話をそのまま無線へ流す。


「やっぱり来てくれた!」

「ちくしょう!

見たかった!」


 ヒーローではない。

決してそうではない。

だが、来たからにはなんとかなる。

 彼らはどちらかと言えば、怪獣だ。

放射能を浴びた恐竜だったり、

空飛ぶ亀だったりと同じ。

来てくれた限り終わらせてくれる。


「誰かテーマソングをかけろ!」

「テーマソングなんてねぇだろ!?」

「ワルキューレのなんちゃらだっけ?

クラッシックのやつ!」

「大佐のやつか!

よっしゃ! かけよ!」


 “大和桜”の一部のメンバーが大音量でクラッシックを流した。

その場の悪ノリ、と言えばそこまでだ。

だが、逃げる人々の耳に届いたその音楽は、

彼ら二人の進撃を的確に伝えた。

 来てくれた。

その瞬間から人々はただ怯えて逃げ惑うのではなく、

生るためにまっすぐ逃げ出した。


「来てくれた!」

「やった!」


 希望が感染していく。

逃げる人々の顔がどんどん明るくなる。


「速やかに退避!

ファンクラブ会員たるものが、

彼らを邪魔する訳にはいきません!

速やかに! 退避!」


 インターネットから流れる、

聞き覚えがある少女の声。


「どうせ国は動かん!

我々は勝手にやるぞ!

 ハンターどもを援護しろ!

機動隊員は今からスライムを殴ってこい!

ハンターになっても給料はあげられんが、

ボーナス査定は三年間満額にしてやる!」


 無線機から流れるその怒号は、

警察庁からの一斉通信だ。


「こちらも勝手にやるぞ!

乗り物をありったけ用意しろ!

人を乗るだけ乗せて東京から放れろ!

 トラックの荷台! ヘリ!

船も! なんでもいい!

乗れるだけ乗せて逃げろ!」


 こちらは公安調査庁からの無線だ。


「おい!

あれ!」


 “大和桜”のメンバーが突然現れた人影を指差して言葉を失った。


「ひゃっはっはっ!」


 夜空に響き渡る笑い声は、

誰も彼もが知っていた。

でも、彼は絶対そんな笑い方ではなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ