表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
触手とダンジョン攻略  作者: 桃野産毛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/143

第76話 白糸

 良いニュースと悪いニュースのくだりは、

ハリウッド映画が発端だったか。

 実際には聞かないものだと思っていた。

聞いてみると、思わず怪訝な顔になる。


「そんな顔しないで。

映画のノリで乗りきろう。」


 そう言うおじさんの顔は笑っている。

悪巧み込みがある時の顔だ。


「父さんのその顔なら、

実写版のネコができる。

ネズミを追いかけるヤツの。」

「俺はウサギの方だと思った。

ラビットじゃなくて、バニーの方の。」

「二人とも厳しいね。

ちなみに、

おじさんはピンクのヒョウならやりたいなぁ。」


 平常運転だ。

俺は何となくセオリー的に良い方から聞く。


「最近多発してる街中でのモンスター出現は、

自衛隊の“防人”と“富岳”で完封する、と

公式発信された。

 また凉治君が呼び出されないかヒヤヒヤしたけど。

自衛隊も公式に発信した以上、

実利よりメンツが勝つだろうから、

呼ばれたときは末期かな?」

「そうなら悪いニュースでしょうよ。」

「身体の回復に費やす時間が確保できたと思おう。

君が半年近くこの様子だと、

私もさすがに心配だしね。」


 俺だって早くダンジョンに行きたいが、

死にたいわけではない。

なので、おとなしく長期間リハビリしている俺を、

どうやら皆で心配してくれているようだ。


「俺のレベルが四になって、装備も揃ったから。

次はもっと前で戦えるし、大丈夫だよ。」


 藤堂はそう言って笑う。

俺はため息混じりに言う。


「そうなると、

悪いニュースは余程悪いのでは?」

「まぁ、ね。

“富岳”から出頭要請が来たよ。」


 これは悪い。

俺がまた顔をしかめると、

ガーネットとネルがおじさんの悪い顔を真似しながら言う。


「良いじゃないですか。

行きましょう。」

「そうですよ。

ガーネット様と私も行きますし。」

「何を企んでるのか知らんが、

俺はまだ満足に動けない。

以前と比べれば四割か、良くて五割だ。」


 この二人もいつかのファンクラブのように、

メディアで俺に対し批判的な発言をする“富岳”に鬱憤がたまっている。

やり返しのプランがあるんだろうが、

それに付き合える程俺の体力的な余裕がない。


「まぁ、おじさんも出頭に賛成だ。

出頭要請の理由が、

“魔法使いたちのデモンストレーション”だそうだ。

 国民の不安を払拭できるだけの実力をメディアで見せたいんだと。」

「それと俺になんの関係が?」

「コメンテーター的な感じがほしいんだよ。

 口に出して言うのははばかられるんだけど、

財前さんは亡くなって黒川さんは行方知れず。

今実力と顔が知れ渡ってるハンターがほとんどいないんだ。」


 黒川さんはあれきり行方不明。

目撃証言も皆無。

ここまで見つからないと、

足の速さだけじゃない理由があると思われる。

 ちなみに、

生き残った被告たちは全員有罪判決を希望していた。

口を揃えて早く刑務所で保護されたい、と言っている。


「それで、おじさんは何を企んでいますか?」

「まぁまぁまぁまぁ。

それは、それだよ。」


 おじさんは笑ってごまかしているが、

否定はしない。


「ちなみに、健治は呼ばれてない。

むしろ、一人で来てほしいってさ。

怪しいよね?」

「それなのに笑ってる父さんの方が怪しい。」


 藤堂なし、一人で来い。

意図があるのを察してほしい、

と言う感じがする。


「デモンストレーションの内容はわかりますか?」

「ふふふ……。

彼らの訓練映像と模擬戦だって。」


 なるほど。

模擬戦に参加しろ、と。


「八百長とか、ヤラセとか、

そう言うのはどうだか不明だけどね。

 “魔法使い”が君に勝つシーンが欲しいんだよ。

あの感じでは自信ありげだったけど、

怪我人相手に国家の軍事力を持ってすることじゃない、って

釘刺したら黙っちゃったよ。」


 暴れることはあれど、

模擬戦のような事は今までやったことがない。

基本的にルール無用で大暴れする方が性にあってると自覚している。


「私になんの得もないように思えますよ?」

「んふふふ……。

ないよね、得は。」


 倒置法を使うくらいおじさんは何か企んでいるようだ。


「まぁまぁ。

行こうよ。

プランはあるから。」


 特攻野郎な軍師みたいなことを言い出すおじさんは、

悪い顔で笑う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ