表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
触手とダンジョン攻略  作者: 桃野産毛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/143

第69話 白羽の矢

 政府の発表後、

“防人”に志願する人が爆発的に増えた。

なんと、防人隊員で適正があれば、

“魔法使い”になる手術費用を防衛省が出すらしい。


「オク曰く、

この魔法使いたちは“べらぼう”に嫌な予感がする、

だそうっス!」

「“べらぼう”に、ですね。

ガーネット様、

やっぱり私にはテレビ越しに“鑑定”できません。

そちらはどうですか?」

「ネル、こっちは“賢者”さんに頼んで、

ネットにもぐってもらいました。

 どうやら研究に関する資料は、

全て手書きの紙だそうです。

“べらぼう”にセキュリティが固いとのことです。」

「俺の口癖については、特に言わんが。

三人とも使い方間違えてないか?」


 研究所は平常どおりだ。

なぜか俺の口癖で遊ぶくらいの余裕すらある。

 少し離れたところで藤堂が全身タイツと

いろんな端子をつけたまま愚痴る。


「小暮さんは、

ニュースを見て興奮してると思ったんだけど。

俺の武器の件も遅れてるみたいだし。」

「情報規制され過ぎてて、

本当かどうか疑わしいって方が勝ってるっス。

 後、ジュニアの武器はほとんどできてるっス。

その端子がジュニアの細かい筋肉の動きを読み取って、

数値化するっス。

それにあわせてカスタムしたら、終わりっス。」

「あ、これいつものスキルの実験じゃないの?

顔まで覆う意味わかんないんだけど。」


 藤堂が顔のタイツを引っ張りながら呟いた。


「顔にも筋肉はあるっスからね。

ジュニア専用武器は力作っス。

お兄さんのスーツと並ぶくらいっス!」

「それは楽しみだ。」

「今の状態でも蜘蛛スーツっぽいぞ。」


 俺は藤堂が蜘蛛のヒーローっぽい格好なので、

茶化した。

藤堂が端子のケーブルを手で持ちながら、

さらに茶化して返す。


「これは糸です。」

「ぽいっスね!

そう言う機能も付けるっスか?」

「え? できるの?」

「ジュニアのスキル“完全武装”なら、

普通の技術と素材でできててもダンジョン仕様になるっス。

それなら、蜘蛛スーツもコウモリスーツも。

メタルのスーツもできるっス!」


 さすがのチートっぷりだ。

俺は感嘆の声をもらす。

藤堂がワクワクしながら聞き返した。


「骨格を金属のものと入れ換えるのは?」

「さすがにあれは無理っス。

対象者がなかなか死なないからできる芸当っス。

 ワンチャン、お兄さんはできそうっス。」

「さすがに無理だろ。」


 俺は思わず否定したが、そこそこ魅力的な提案だ。

俺は再考して呟いた。


「“触手”のスーツが便利すぎるから、

骨格に改造をするのはありか。」

「そのためにも、

早く良くなって欲しいっス。」


 藤堂が近寄ってきた。


「櫻葉に施術する気満々?」

「金属の骨と入れ換えるのは無理っスけど、

身体改造は可能っス。

 緒方っちの研究成果の一つに、

そもそも怪我したときの自然治癒を強化するものがあって。

オクの解読した回復魔法と組み合わせて、

お兄さんの“超人体質”を強化するものがあるって聞いたっス。」

「それ、なんて血清?」


 藤堂が苦笑いしながら言った。


「お兄さんなら、

絶対赤い巨人になっても理性的っスよ。」

「巨人になった上に触手って、

もうチートどころか隠しボスとかだろ。

櫻葉の戦い方、

完全にパニックホラーだからな。」

「お兄さんの治療にもなるかも、と考えてたんっス。

でも、調べると効果が

“施術時の状態をキープするよう働きかける”んっス。

 身体が元気な状態で施術しないと、

弱ったまま固定されるんっス。」


 そもそも体質的にタフな上に、改造人間か。

かなり魅力的だ。


「施術はどうやるんだ?」

「お?

意外とお兄さんも乗り気っス。

 手術はしないっス。

注射打って、

魔術研謹製の装置で魔法を浴びたら終わりっス。」

「なにその装置。

俺は?

俺は無理?」

「ステータスに“魔力値”があれば行けるらしいっス。

ガーネットちゃんかネルちゃんに“鑑定”してもらって、

ステータスを確認して欲しいっス!」

「先に申し上げますが、

残念ながら藤堂様は魔力適正がありません。

バリバリの前衛ステータスですよ。」


 ネルが先に釘を刺した。

藤堂が悔しがってタイツ姿で悶絶する。


「そう言うのなしでもできることないの?!」

「それなら、ネルちゃんのバフで十分っス。」


 確かに、バフによる強化はかなりのものだ。

ただ、使いこなすのに鍛練が不可欠なのが唯一の欠点だ。


「夏休み中に使いこなせるように、

とは思うけど。

俺の場合、

櫻葉と一緒にいないとバフ貰えないからな。」

「確かに、そうっスねぇ。

今度、なんか装備意外にも考えとくっス。」


 研究所の皆は、

もう地下室の疑似ダンジョンに何もかも運び込んで研究している。

とうとう上にあった設備すら地下へ移動させた。

上の建物は皆の寝床になっている。

 そして、電話機もここにある。

基本的に鳴らない。

鳴ってもおじさんか、タカミさんのどちからだ。

 今しがた鳴りだした電話機のモニタには、

見知らぬ番号が明滅している。


「この番号、知ってる人いるっスか?」


 電話機を見た人は皆一様に首を横に振る。

仕方なく、俺が受話器を取った。


「こちら、櫻葉研究所。

ご用件は?」

「あの!

櫻葉さんに繋がる番号とかあれば、

教えてください!」


 開口一番それか。

俺はスピーカーをオンにして、ため息をつく。


「どちら様でしょうか?」

「あっと、その!

“大和桜”の安西と申します!

この前、黒川さんを簀巻きにして連れていったの、

私です!」


 あの火薬の匂いが苦手な人か。

俺は仕方なく続ける。


「櫻葉です。

このままお話を聞きましょう。」

「あ、櫻葉さん?!

良かった!

あの! 黒川さんを助けてください!」


 嫌な予感しかしない。

俺は断ることも視野にいれつつ、

詳しく聞くことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ