第6話「4月1日エンドロール」
テト歴108年4月1日終了、エンドロール。
〈1人目の冒険者ループ〉
1日限定ループの信憑性が半信半疑だったが、今回でこれが確定事項だと判明。
1日限定ループのルール。
①1日1回1度きり、発声と意思が一致した状態で魔法は発動する。
②遊戯の神テトは他者から見えず、ループ前の記憶を継承・共有出来るのはループとテト以外は居ないという運命共同体に。
③1週目の出来事のメモ程度なら2週目にテトに頼んで持ち越すことは可能。
④ループ自身が死んだり、死後の世界で1日限定ループは発動できない。
現実世界の地球で、朝方の清掃員だったループは21時00分に眠くなりそのまま就寝、8時間後の4月2日朝5時00分から目を覚ますこととなる。
〈2人目の冒険者テンセイ〉
訳もわからず、地球で一回死んだ後に、異世界でもう一度死にそうな思いをしたTS転生美少女。体は幼女、心は18歳男性になっただけで、今回の戦闘では何も出来なかった。
しかし彼女の能力に、他人の心を読む能力。読心術が宿ることを、今はまだ誰も知らない。
〈3人目の冒険者ケイサツ〉
拳銃FSP9を所持したまま4月1日を終了。〈0人目の冒険者スナイパー〉を射殺したことにより、対人狙撃銃M24を手に入れた。
主な持ち物は双眼鏡、ミリタリーウォッチ、携帯食、88式鉄帽。
ループの情報により、0時にループはリセットされることが判明。
ループが最重要保護対象と判断。よってループが寝ている8時間の間は見張りを買って出る、よって4月1日から21時00分から4月2日朝5時00分までは念のため警護にあたり、睡眠していない。
念には念を入れて、窓の無い呪術師の召喚部屋で、7人の冒険者は一塊になって一夜を越えることを提案して4月1日は終了した。
〈4人目の冒険者バクゴウ〉
1日5発ほど撃てる、超大火力のロマン爆轟魔法を撃てて彼女は満足気味、体力の消耗が激しくループと同様の時間、4月1日21時00分に就寝した。
ケイサツの指示をしっかり守って城の影から魔法を撃てた事から、良識的な頭脳は持っているようだ。
〈5人目の冒険者バケモノ〉
元は普通の日本人女性、異世界に行ったらギルドの受付嬢をやりたいな、とか思っていたがそんな時間は無かった。
獣人特有の、化物ばりの身体能力を発揮する機会は今回は無かった。
自身の気配を完全に断絶する「絶」状態に成れることを彼女はまだ知らない。
〈6人目の冒険者アクヤク〉
何故かオタクのタブレットと通話出来る不思議魔法が身に付いていた。
自身は錬金術を駆使して商人をしたいな、と思っていたが。果たしてこの状況下で商売が出来るのだろうか? 暗雲立ちこめる思いである。自称、悪役令嬢錬金商人はそんな物思いに浸りながら。4月2日00時00分に眠りについた。
〈7人目の冒険者オタク〉
ニートオタクの夜は長い、部屋で今日の出来事を地球のネットの住民に実況配信を始めたところ、相手にされなかった上に。ケイサツに「うるさい!」と一蹴されてしまった。その後、掲示板に何やら色々と書き込みをしたらしいが、真相は不明。4月2日2時00分に眠りについた。
〈0人目の冒険者スナイパー〉
異世界で城門で爆発があったあと、その1秒後には訳もわからず射殺、死亡した。
1週目のループで自分が冒険者達を射殺したことも、自己防衛のためだったことも彼には解らず、また知る術もない。
彼には、妻も娘も地球に居た。しかし異世界で死亡し、亡霊になったことには変わりない。
しかし、自分以外の自衛隊が存在している事と、どこかに死霊術士が居るという情報だけは手に入れた。
彼の魂は、死霊術士を求めて彷徨うしかなかった……。
いずれスーパーヴィランになり、〈7人の冒険者〉に復讐するために……。
〈遊戯の神テト〉
彼女は何を考えているのだろうか? ――不明。
〈王様〉
スナイパーを倒せたことによって一安心していた。
〈呪術師5人〉
7人の冒険者を召喚できたことに歓喜している、今日は祝杯だった。