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第5話「時よ止まれ! これでチェックメイトだ!!」

 王様の言葉を単的に短く言うと。

 〈0番目の冒険者〉外道なスーパーヴィラン。

 と言った所だろう、困ったことにおじさんが来る前に召喚されたスーパーヴィランは。王様を脅し、城と街を征服し、街の護衛と共に、時計塔に立て籠もった。それから数日後、今に至るみたいな感じだった。


 その後の殺害動機は聞かなかった。

 何にしても1度殺された事実(・・・・・・・・)。ケイサツは防衛のための射殺許可は下りているようなものだった。

「銃撃って、殺されたんだから。殺される覚悟は同じ自衛隊なんだから〈知りませんでした〉じゃ道理は通らねえよな? 銃は脅しの道具じゃねえんだ、殺しの道具だ。そっちがその気なら殺すしかない!」


 おっさんも仕事の関係上Gを仕方なくよく踏み潰して殺しているので、「ですよね」程度の相打ちは打った。どの道正体を知られたら死ぬと思った方が良い。

 つまりこちら側陣営の勝利条件はたった1つ。


 ①7人の冒険者全員、存在を知られる前にスナイパーを射殺仕返す(・・・・・)


 これしか無い。

 しかし、そんな便利な方法はあるのか?

「そこら辺に居る呪術師達さんよ、全体魔法で、相手の動きを止まられて、こっちだけ有利に動ける。そんな魔法とかあるか? スナイパーとの距離800Mだぞ?」


 普通は無い、だがココは剣と魔法の世界だ。可能性は無限にある。

「ある。時止めの魔法だ、ココに居る上級呪術師が5人居れば、最大5分間は時を止められ、1人を自由自在に移動させられる」

(マジか! あった! あるんかい!?)

「時計塔の高さは?」

「約96Mです」

「オタク! 800Mの距離と、96Mのタワーを物理的に走れるタイムは!?」

「や、やってるって! 800Mを速くて2分30秒! タワーが約3分12秒!」

 

(5分42秒……クッ! 42秒足りない!)


「なら、私が囮になります! 爆音を響かせて隙を作ります!」

 言ったのはバクゴウだった。ケイサツが「ならそのタイミングは」と付け足す。

「なら、16時00分にソレををマンモスゾウに撃とう。テト歴108年4月1日16時00分。盗賊30人とマンモスゾウが門の前で街を襲う。だったなループ」

「あ、ああそうだ」


「恐らくスナイパーも門の中に入れたくないから盗賊団を射殺するだろう。だがマンモスゾウはどうなるか解らん、そこで城の裏や影からバクゴウの遠距離爆破、決して時計塔の見えない角度から発射する。王城から移動は出来ないしすれば目視されるから、コレが最低ラインだ。時計塔から見て視界の〈くの字〉に入らないように隠れて撃つ。OK」

 バクゴウ少女はOKと返事良く言う。それで、42秒、時間を稼げるかが勝負だ。


 話は、6番の冒険者と7番の冒険者に移る。

「オタクのタブレットは貸して貰う、アクヤクと通話出来るんだったな。タブレットを無線代わりに、俺が『今だ!』と言ったら、〈時止めの魔法〉を発動。俺はタイムウオッチを持っている、時間は正確だ」

 すげえ、流石自衛隊。戦闘チート過ぎる。


「わ、わかった。今だ! とだけ言えば良いのね」

「お、オス!」

 ケイサツが指揮をする。

「この件、長引かせるとこっちが圧倒的不利になる。このターンで終わらせるぞ!」

『おう!!!!』

 全員に気合いと覚悟が入った。



 テト歴108年4月1日16時00分。盗賊30人とマンモスゾウが門の前で街を襲う時間に入った。


 パンパンパン!

 誰も王城の援軍が入ってこないから、スナイパーが時計塔から狙撃を開始した。

 スナイパーの視線は、王城から城門へ向けられる。


 この時、ケイサツは時計塔へ向かって走り出した。

 42秒……! 少しでも距離を縮めなければ最悪の場面でご対面する!


 まず、マンモスゾウの騎手を射殺。次に司令塔と思わしきリーダー格を射殺。そのあとは掃討戦だった。マンモスゾウだけは殺せずにいた……と。その時……!


「スーパーフレア! フルバースト!」

 ヒュルルルルル……! 


「3・2・1・、……。」


 爆轟と共にマンモスゾウが爆裂と共にドゴンとなり「!?」とスナイパーがなった瞬間……。

(何だ? どうなった? どこから? 敵? 味方? 何?)

 ……と思考する隙すら与えない! ――速攻。


 自衛隊の走り出した声と共に、街中の物陰に隠れていたケイサツが走る!

 39・40・41……。


 42秒!


「今だ!」

 チュドーン!!!!

『今だ!』


「ザ・ワールド! 時よ止まれ!」

 おっさんがそう言った瞬間、

 始まりの街と時計塔を含む全てが時間停止した――。


 中で動いているのは1人だけ、1秒から0秒の刹那の時間を走るケイサツ!


(5分……! 5分……! 5分……!)

 負けたら死ぬ、気づかれる前に背後に回り、狙撃手を射殺する、出来なければ1秒後には自分が射殺される!

 

 そんな極限状態で必死になって走る。失敗は出来ない、ループはもう1回使い終わっている。相手は存在さえこちらに気づいていない。絶好の機会。失敗すれば逃げられる上に更に強固になって帰って来るだろう。

 絶対にここで仕留め無ければならない! 未来の強敵を作ってはならない! そう未来の一般市民のためにも!


 3・2・1……。


 そして、時は動き出す――。

 0秒。


 チャキ!

「!?」

「1秒遅かったか」

 スナイパーに気づかれた。ケイサツは……。


 ドンドンドンドンドンドン!!!!

 スナイパーは6発の弾丸を体中に受けて、一言も発すること無く。


 ――絶命した。


『あー、こちらケイサツ。勝ったよ』


「勝ったって」

『うおー! やったー!!!!』

 全員歓声を上げる、怯えていた王様もだ。

 が、喜んだ間も束の間。ケイサツは水を差す。


『あぁ、今回はな(・・・・)

「へ、今回は?」

 ザワ……!?


 現実世界の自衛隊らしからぬ発言をする。

『俺知ってる、剣と魔法のファンタジー世界では、死霊術士(しれいじゅつし)ってのが居るんだろ? 呪術師が居るんなら尚更だ』


「……え!?」

『だが、今回は俺の勝利だ。と言いたかっただけだ。死霊術士に会ったら言っとけ。これで1勝1敗だ(・・・・・・・・)!……てな!』

 

(おいおい、まさかループ1週目で死んだこと根に持ってるのかよ……!?)

 たぶん、戦場では死んでた。と、ケイサツでは言いたいのだろう。が、今はこの勝利に喜ぼう――そう、喜んどこう。

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