表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/10

第1話「30代おっさんの大冒険」

 解っている、いや解っていたつもりだった。異世界で大冒険がしたい。

 子供の頃、大冒険を夢みた少年心が30代おっさんの心には生きていた。

 いつも、毎週欠かさず少年ジャックを買っている夢みるおっさんだ。

 見渡す限りの大草原、魔法都市、強大なドラゴンの敵、愉快痛快な仲間達。

 そんな初年時代を過ぎ、小学校、中学校、高校、大学、ニート、社会人を経験して……。そして今は清掃員をやっている、……刺激的なイベントと言えば、Gを踏み潰して戦うイベントだけだ。それを永遠と続けて数日、数ヶ月、数年が過ぎた頃。

 おっさんはコンビニの帰り道、その光は突然現れ、ピカッとチュウと光って。


 ――30代おっさんは異世界召喚された。


 タイトル「7人の冒険者」始まり。



 異世界テトリシア、テト歴108年4月1日12時30分。

「おお冒険者よ、死んでしまうとは情けない!」

「ちげーよジジイ! こういう時はよく来た冒険者よ! って言うんだよ!」


 始まりは、王様と遊戯の神テトとの軽快な第一声から始まった。

 場所は王城、何かの儀式のようだった。魔方陣の中心地点に自分は立っている。それが何を意味するののかは自分には解らない、何かを生贄にしたのか? そんなちょっと恐ろしい事を考えてしまう。せいぜい牛1頭の生贄ぐらいで勘弁して欲しい。

 前人未踏の大地を行くのに、案内役など居るわけもないとはこの事か……。

「あの、お2人(・・・)。ここはどこ?」


 まずその2人というのが異質だったらしい

「何!? お主まさか〈遊戯の神テト〉が見えるのか!?」

「え、何ボクのこと見えるの!? やったー!」

 どうやら王様っぽい見た目の片方は見えない設定らしい。遊戯の神テト、何か何処かで聞いたことあるような気がするが。兎に角、片方は神、片方は王様らしいことは解って良かった。この第一声でも解ることがあって良かったと思ってホッとするおっさんである。


「えっと、誰か説明してください」

 すると、遊戯の神テトだペラペラと喋り始めた。


「キミの名前は〈1人目の冒険者ループ〉だよ、キミに与えられた能力名は1日限定ループ(デイライフ)! 1日1回1度きりのループをすることが出来る能力を持っているのさ! てゆーかボクが与えた。これを使って好きに冒険してみて欲しい! ループは『デイライフ』と発声と意思(・・・・・)が一致してないと発動しないから、要注意ね!」

 マシンガントークが炸裂するテト、何かいきなり名前? 名称も決められてしまったらしい。〈1人目の冒険者ループ〉、それがこの世界でのおっさんの名前だ。


「そうか、何かよくわ解らんがループな。覚えた」

 安直だなとは思ったが、どこで何を間違えるか、コミュニケーションブレイクダンスだけは避けたいと思ったので。ここは大人らしく大人しくしておく。

 心の中で「やった! 能力だ! しかも時間魔法! 当たりだ!」とは思ったが、1日1回限定? ……はて困った、試せないなとおっさんは思っている。


「確認するが、その1日1回1度きりのループは、今ここで使ったら今日1日中はループ後の世界では使えない……これは確定なのか? その保証は?」

 おっさんの順応性が速すぎる気がするが、ここは大事な所なので確認は入念に行っておきたい。もしここでデイライフと発動してしまったら、今日1日は使えない事になる……。


「もちろん! 遊戯の神テトの名において! それは真実だと保証する!」

 おっさんは、ありがたい。神からのお告げが来た。これで何かあっても神の責任に擦り付けができる、とかセコいことを考えながら。

 おっさん……ループは、考える。

(となると、1日目は最後の最後にループしてみたいな……1回しか使えないのか……となると、次に気になるのは記憶の継承……)


「ループした時、俺の記憶は継承されるのか? その時誰も前の記憶は覚えて無いのか?」

 おっさんは質問する。はっきり言ってここはかなり重要だからだ。神テトは言う。

「ループする前の記憶を継承できるのは、ボクとキミだけだよ。へへ! 運命共同体だね! だから、ループ使うなら今日の夜に使うと良いよ! 新人くん! へへへ!」

 これで一番最初にテストする必要性は無くなった。あとは。おっさんが訪ねる。


「1人目と言っていたが、何人目とかあるのか?」

 今度は王様が発現する。

「おお、残り6人、合計で7人をこの世界に召喚するつもりじゃ! 趣味で!」

「いや趣味かよ! 魔王討伐のためかと思ってたぜ!」

 どうやらこの異世界のノリは軽いらしい、よかったドシリアスじゃなくて……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ