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らぶっと  作者: ポイント
1/3

ストーリー:1

初めまして ポイントです!

これが初の投稿になりますので何卒何卒あったたかく読んでやってください。

またご意見いただければ幸いです


ではまた後ほど(笑)

 春。長い階段。桜並木

 四月某日 時刻は九時すぎくらい


 この季節、この時期となれば、どの学校もたくさんの真新しい制服の新入生たちが新生活に胸をときめかせて入学してくる。

 それはこの高校も同じで今日は、その入学式で校門前では式に参加する学生と保護者で溢れかえっていた。

 ただ残念なことに今日に限って天気は大荒れで、せっかくの見事な桜も傘と雨が邪魔して見る事ができない。見えるのは激しい雨に撃たれて無残に散っていく薄紅色だけ。

 入学式に雨なんてそうそうあるものじゃない。


 そして、もうひとつ。そうそうお目にかかれないモノが人ごみの中にあったことを、この時は誰も知らなかったのだった。








 校長の話だの新入生の挨拶だのを聞いて、つまらない入学式が終わり、教室に入って今度は担任の挨拶、いろいろなプリント配布とお決まりの流れで時間が経っていく。

 そして――

「じゃあ時間も余ったみたいだから自己紹介でもしてもらおうか。名前と出身校、あとは好きなものとかだな」


 当然の流れで自己紹介タイムが始まった。

 みんな「恥ずかしい」だの「何言おう?」だのの空気が漂う中、出席番号の早い奴から自己紹介。

 出席番号順とは番号が後ろの奴らはラッキーなのだが番号が早い奴…例えば男子の一番の奴なんかは本当に困ってしまうわけで…

「あ、安岐あき 颯太そうたです…と、西中から来ました…で、えと、好きなものは野球…ス。よろしくお願いします」

みたいになってしまう。

 この少年――安岐颯太は[あ行]の苗字のため運悪くテストを始め、大体のものを一番にさせられることが多いのだ。

 まぁ、今回はそのおかげで

猪野いの まことです。榊中からきまっした。好きなものは女の子全般です☆」

と、ふざけた自己紹介を初っ端からかます誠と、つるむことができたのだった。

 世によばれる[高校デビュー]に憧れていた颯太としては非常によい出だしなのだ。

 何を隠そう(隠す必要もあるのだろうか?)安岐颯太という人間、生まれて十五年=彼女いない暦十五年(泣)の強者なのだ!

 そしてそんな彼も「高校では彼女できるぜぇ!」(兄談)を信じ、今朝も少し早起きしてボサボサ寝癖をツンツンモテヘアー(某男性雑誌より)にしてきたのだ!

 今日の俺は一味違うぜ☆

 さらに彼の懸命な姿を神が見ていたのか、女子に声かけなれてるっぽいダチもゲット!


 そして極めつけに…

「なぁ安岐、うちのクラスって当たりだよな?」

 当たりです!大当たり特賞ものですます!

 女子は輝くような美少女がたっくさん☆

 その中でもずば抜けて美少女なのが…

保志ほし かえでです。羽根丘中学校から来ました。好きなもの…というか趣味は料理とテニスです。よろしくお願いします」

 とても丁寧に自己紹介をした彼女――楓である。

 顔は小さく全体的に整い、黒目がちの大きな瞳に桜の花びらのような唇。

 肌は一度も日に当たったことがないように白く透き通り、抱きしめたら折れてしまいそうだが、程よく健康的な体をしていて、華奢な肩には腰くらいまで伸びる藍を帯びた黒髪をしていた。それで趣味が料理とテニスとくればポイントが高い。

 というより

「俺……モロタイプだ……」


 こうして颯太のハートに深くふっかく矢は刺さった。



「うぉ〜い?安岐ちゃん?」

 耳元から気持ち悪く誠の吐息がかかってくるのに気づいたのは、ホームルームが終わった後だった。

「安岐〜お前ずっと保志見つめたまま固まってたぜ?しかも保志も気づいてて気味悪がってたぞ?あは!」

 あぁ、そうか。俺は見とれてて、保志に気味悪がられて…!??

「短い春だったな、安岐」



 お母さん…颯太の今日始まったばかりの春が早くも終わる予感バリバリです。

 てか終わりました……


 まだ生きて、家で風呂場のカビと熾烈を極めた闘争を繰り広げている母に届きはしやしない心のテレパシーを送りつつ、今日できた友に肩を叩かれる颯太なのだった。

 外の雨はさらに激しさを増し、また一片悲しく桜が散るのでした。




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