レイガン
「レ、レイガン!? そんなものの使い方、教わってないぞ!?」
「謝罪を。当機の射出にエネルギーを割いた為、サポートシステムが一時的にダウンしています」
「ぐう!」
それで助かっている為、文句を言う事などできるはずもない。それに……もし、それが使えるというのであれば。
この事態を打開出来るというのであれば、紀伊にやらないという選択肢はない。あるはずもない。
「……分かった、やろう」
「了解しました。では……行動開始します」
目にも止まらない動きでアインはリボルバーに弾を再装填し走り出す。銃を撃ち、再装填し……そんなアインを警戒したのか、残ったオーガナイト2体、そしてオーガナイトリーダーがアインに襲い掛かる。
振るわれる剣を、槍を……アインは凄まじい動きで回避しながら射撃する。
踊るようなその動きは、ただひたすらに美しく。
生き残った誰もが、その姿に魅了されていた。
しかし、その攻撃は鮮烈。アインの放つ銃弾は、オーガナイトを見事に撃ち抜いている。
オーガナイト2体はその攻撃の前に倒れ……しかしオーガナイトリーダーの鎧はアインの弾を簡単に弾く。
当たり所がどうとかではなく、全く効いていない。それが如実に分かる結果だった。
「……効果を認めず。装備の不足が悔やまれます」
「オガアアアアアアアアア!」
あれは自分の敵ではない。そう判断したオーガナイトリーダーは、アインを獲物であると認定し襲い掛かる。
相手の攻撃は自分には効かない。その事実はオーガナイトリーダーの攻撃を苛烈なものへと変え、振るう巨大剣はガオンという凄まじい音を響かせる。
それは紀伊のみならず、その場の誰であっても回避はおろか防御ですら可能かという、凄まじい攻撃の連打。
そんなオーガナイトリーダーの振るう巨大剣を回避し、足場にすらしてアインは跳ぶ。
そうして、アインは視線の端に紀伊を捉える。
「ですが……それでも、此方の勝利です」
アインが聞いたのは、1つの声。
「アイン、避けろ!」
「承りました、マスター・キィ」
放たれたのは、一条の光線。アインの銃弾を、冒険者たちの武器を弾いた程の防御を誇るはずのオーガナイトリーダーの頭部を消し飛ばし、遠く空へと昇っていく。
そして、それを成した青年……紀伊は。
「は、ははは……なんだこりゃ、凄すぎる……」
驚きのあまり、腰が抜けてしまっていたのだった。