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マスター・キィの彷徨い4

 ジョブではない力。なるほど、確かにそういう力は他にもあるだろう。

 しかし、どうするかと問われれば……キィの回答は、決まっている。


「どうもしないな」

『は?』

「どうもしない。君が何を考えているのかも、実のところあんまり興味がない」

『はああああ!?』


 少女は大声をあげると、車体にべったりと貼りつく。


『おかしいでしょ! 普通此処は仲間に会えたって喜ぶ場面じゃないの!?』

「ちょっと前までなら喜んだかもな」

『でしょ!?』

「でも今は違う。それだけの話だ」


 そう、キィにはアインがいる。

 この世で唯一、絶対的に信じられる存在。

 それがいるだけで、キィは満たされているのだ。


「人間社会で無理に生きようとも思わない。そうしなくても生きる算段はついてる」

『違うでしょ! そこは俺を排除した人間社会をひっくり返してやる的な!』

「君はそれを選んだんだよな。そういう意味ではアースワームを倒したのは悪かったと思う」

『……』


 車体の向こうにいる少女はしばらく無言。

 そして、しばらくの沈黙の後に「おかしいわよ、アンタ」と口にする。


『アースワームを倒したのは悪かった? それってつまり、人間の味方やめてんじゃない』

「かもな」

『それなのに人間社会に自分を刻むでもなくひっくり返すでもなく。何がしたいの?』

「好きに生きようと思ってる」


 このままやっていけば、それが出来るとキィは知っている。

 だからこそ、無理に人間社会になじむ必要はない。


『無理よ』


 だが、少女はそう断言する。


『分かってるでしょ? ジョブに頼らない力は排除される』

「ああ」

『その余裕っぷりを見れば分かるわ。宇宙船か何かあるのね? でも、それでも無理よ』

「……どういう意味だ?」

『奴等はきっと、そこまで来るわ。科学文明が宇宙に達したように、今の文明も必ず宇宙に届く。ひょっとしたら、今この瞬間にもそういう奴がいるかもしれない』


 確かに、ないとは言えないだろう。

 宇宙に行けるような、あるいは宇宙に届くような……そんなジョブやスキルが存在するかもしれない。


『そうやって余裕ぶっこいてられるのも今の内よ。自覚なさい、アタシ達は異端なの。異端が異端でなくなるには、力を示すしかない。認めざるを得なくなるほどの、力を』


 そうだろうか。そうなのだろうか。それしかないのだろうか。

 世界がキィを認めるには、本当にそれしかないのか?


『信じないなら、それでもいいわ。好きなだけ傷つけばいい。もう感情が消え失せる程石を投げられればいい。アタシには、その後にそいつらを滅ぼしてあげるくらいしかできないから』

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