マスター・キィの始動4
「マスターキィ解放……タンククルーザーtypeα・エンゼリオ!」
「う、うおおおおお!?」
目の前に出現した巨大なモノに、シンは思わず大声をあげる。
それは科学世界であれば「大型車」とか「戦車」とか……そういう部類になったであろうものだ。
勿論、その前に「SFの」とつくだろう。
光沢のある巨大な箱型の本体につくのはタイヤでもキャタピラでもなく、その巨体を浮遊させる不可思議な機構。
各所についた砲と思わしき武装は、かつての時代を知る「男の子」に直撃する無骨さを備えた代物だった。
「こ、こんなものを出せるのか!?」
「ああ。あんまり使いたくないんだがな」
「なんでだよ⁉」
興奮気味に聞いてくるシンに、キィは少しばかり白けたような目を向ける。
「……こんな明らかに未来戦車っぽいものが町に近づいてきたらお前……どう思う?」
「……迎撃準備するな」
「だろ?」
そう、このエンゼリオはタンククルーザーという分類であるらしいが……そう、戦車なのだ。
砲をゴテゴテとつけた巨体で町に近づくわけにもいかない。
「視認できないギリギリの距離までコレで行く。それが限度だな」
「仕方ないか……なあ、もう乗っていいのか!?」
「いいぞ」
「よっしゃー!」
テンションが上がりっぱなしのシンに、キィはエンゼリオにドア解放を指示する。
パシュッという軽い音をたてて開いたドアからシンは駆け込み「すげー!」という興奮したような声をあげる。
続けてキィとアインも中に入るが……確かに「すげー」という感想がよく合う内装であった。
「外見戦車で中身はキャンピングカーかよ!」
「まあ……クルーザーだしな」
ふわふわのソファと、冷蔵庫らしきものも備え付けられている。
更には内部からは外の風景がよく見えるようになっているらしく、閉塞感もない。
「はははっ! こんな高級感あるソファ、久々だぜ!」
「ま、ゆっくりしてくれ」
シンをそのままに、キィはアインを連れて操縦席へと向かう。
コレの操縦方法はすでにインストールされている。
助手席……もといオペレーター席に座るアインに頷き、キィはエンゼリオの発進準備に入る。
「よし、行くぞアイン」
「いつでも」
ゆっくりと、滑るように走り出したエンゼリオはエアバイクほどの速度はないようだが……それでもバトルホース程度であれば置き去りにするほどの速度を発揮しながらエルンの町に向けて突き進んでいく。
「うおおおお! すげえ、すっげえなオイ!」
「おい、運転席に来るんじゃない」
興奮し続けのシンを、抑えながら……ではあるが。




