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囚われの紀伊3

「鉄犀騎士団が……? 残骸って、どういうことだよ」


―非常に強い力で叩き潰されたようです。映像もありますが閲覧は非推奨です―


「う、いや、いい……」


 だが、アーマーライノは騎乗用のモンスターとしては相当に強力な個体のはずだ。

 それこそ、オーガナイト相手だって一方的に轢き殺せる程の強さを持っているのだ。

 なのに、そんなアーマーライノに乗っている鉄犀騎士団が力負けしたという事実が紀伊には受け入れがたい。


「だとすると、ソレが今まで此処を襲わなかった理由って……?」


―不明です。最も高い可能性としては「慎重である」となります―


「でも、もう一番恐ろしい鉄犀騎士団は片づけたってことだよな……」


―故に、アレイアスはマスターの生命保護の為の緊急措置を実行します―


「いや、でも」


―実行開始まで、あと10秒―


「10!? いや、ま……」


 ドゴン、と。地面が大きく揺れる。

 紀伊の身体も跳ね上がるようにして空中へと投げ出され、そのまま独房の床に転がる。


「どこが10秒だよ⁉」

「いいえ。きっかり10秒であると報告します」


 独房の外。鉄格子の向こうに、アインの姿があった。

 同時に、更に響く破砕音と悲鳴。何処かで何かが起こっているのは間違いない。


「この騒ぎ……まさかアイン!」

「いいえ。当機ではなくモンスターによるものです」

「それってアレイアスの言ってた……」

「はい。この町は現在、地中を掘り進めていた大型モンスターによる襲撃を受けています」

「大型……!?」


 壁にかけてあった鍵をとると、アインは紀伊の独房を開けて中に入ってくる。


「マスター。すぐにアシストスーツの着用を。あれには僅かですが治療機能もあります」

「あ、ああ。マスターキー解放……!」


 言われたとおりにアシストスーツを纏うと、微妙に痛みが消え……紀伊は立ち上がる事も可能になる。


「それで、アイン。大型モンスターってなんなんだ?」

「不明です。ですが、ここ数日のアレイアスの分析による仮称で宜しければお伝え出来ます」

「聞かせてくれ」


 紀伊がそう言えば、アインは「その名前」を告げてくる。


「陸生超大型モンスター、分類はワーム……仮名称『アースワーム』です」

「知ってるぞ。仮称なんかじゃない! それは……!」


 アースワーム。

 最強種と名高い「ドラゴン」の近似種であるとされながらも明確に違うとされる、それでも凶悪かつ強力なモンスター。

 強固な外皮と、強大なパワー。地中を掘り進み、陸上でも上から数えたほうが速いほどの強さを誇る上級モンスター。

 その別名は……都市崩し。

 そんなものが来ているなら……確かに、この町は滅びる。

 響く破壊音と悲鳴を聞きながら、紀伊はそれを確信していた。

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