表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/65

反動

 いや、「ように」ではない。実際に、全身から力が抜けているのだ。

 前回撃った時にも動けなくなってしまったが、それよりも更に酷い感じだ。


「全然動けないぞ……どうなってるんだ、これ」

「アレイアスに問い合わせ完了。レイガン使用の反動です」

「反動?」

「はい。レイガンを最大出力で撃つ際のエネルギーの不足を、マスターの生体エネルギーより補填しています」

「ごめん。初耳の事が多い。つまり?」

「出力調整が必要です」


 最初に説明してくれ……と言いたくなる紀伊だが、威力が威力であるだけに文句を言えない。

 

「まあ、その辺の説明は後で聞く。それよりこの後、どうするかが問題だよな」


 指揮官と思われるコボルトキングは倒した。

 しかし、この後どうしたものか?

 こんな巨大な死骸を持って帰るのは、少しばかり辛い。

 そもそも討伐したと言って信用して貰えるだろうか?

 

―アレイアスより要請。新規解放可能な機能があります。解放しますか?―

「え? いや、待った。何が出来るんだ?」

―エアバイクtype1・タトライズを使用可能です―

「えあばいく」

―地上の僅か上を重力制御により疾走可能な移動用ユニットです。地形に左右されにくいですが、他タイプと比べると走破性に欠けます―


 よく分からん。それが紀伊の感想だった。

 かつての科学時代にだってそんなものは無かったから仕方ない。

 しかし、あれば相当便利であるのも理解できているし、相当目立つであろうことも理解できた。


「……分かった。やってくれ」

―了解しました―

「おっぐあああああああ! きたあああああ!」


 痛みにのたうち転がる紀伊を支えながら、アインはじっと考える。

 エアバイクは現在の魔法文明からしてみれば、異質に過ぎるものだ。

 一定以上の年齢層からすれば科学文明に属する何かであると……実際には違うが、そう予測するのは容易であろうし、目立つのは間違いない。

 そして、紀伊がそれに気づいていないはずもない。


「目立つつもりですね、マスター」

「え? ああ。そのつもりだ」

「確かに、エアバイクはマスターが今までのマスターではないと知らしめるのにこの上なく最適です。しかし」

「狙われる危険性も高くなる……だろ?」

「肯定します」

「それでなんだが、実際俺の武器とか道具って奪えるのか?」

「不可能です」


 レイブレイドもレイガンも……アレイアスも、紀伊の能力として生じたものだ。

 いわば紀伊の一部であり、それを奪う事など不可能だ。


「なら、安心だろ? 精々派手に帰ろう」


 コボルトキング討伐の栄誉は捨てることになる。

 しかし……コボルトキングによって得たエアバイクは、それに勝る結果を得るであろう事は、アレイアスに計算を要請せずとも簡単に分かる事だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 良い意味でマイノリティ(少数派)の主人公。読者の中二病を良く刺激してくれる設定で楽しいと思います。 [気になる点] 主人公の武器・道具を見て欲しがる人が登場しますよね。選択肢⓵大勢の前で、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ