不穏の気配
「ではマスター。アレイアスにサーチ要請をする事を提案します」
「サーチ……って、あっ」
アインに言われて、紀伊はオーガナイト達が襲ってきた時の事を思い出す。
あの時も確かにアレイアスからオーガナイト達に関する警告が届いていた。
つまり、それは。
「モンスターを探す機能があるのか…」
「はい。最高効率を出すには必要な手段であると進言します」
「確かにな。よし、アレイアス。サーチ要請だ!」
―モンスターサーチ開始……半径20㎞圏内、進行方向に強力なエネルギー反応―
「お、早速……」
―警告。エネルギー反応の分布に不可解な点が見られます。20㎞圏内を超えての移動を推奨しません―
「いや、不可解ってなんだよ。不吉だな」
―小隊行動に酷似した動きが見られます。仮にモンスターであると仮定した場合、先日同様の事態の発生が懸念されます―
言われて、紀伊は考え込むように顎に手をあて……やがて「ああ」と納得したような声をあげる。
「それって鉄犀騎士団じゃないのか? 確か遠征に行ってたはずだ」
―現在のサーチ精度では判別不能です―
アレイアスからの返答に紀伊は「ふむ」と頷きながら考える。
先日鉄犀騎士団が遠征に出ているが、彼等はチーム行動を得意としている。
丁度その辺りで何か作戦行動をしていたとしても、まったくおかしくはない。
当然、そうではない可能性もあるが……。
「まあ、いい。その範囲に行かなければいいんだろ? 目的の場所だけに誘導できるか?」
―ナビゲーション機能を起動。そのまま前進してください―
「よし、行こうアイン」
「はい」
頭の中に響くアレイアスからの誘導指示に従い、紀伊とアインは進んでいく。
途中で襲ってくるモンスターたちをレイブレイドで切り裂き進み……そうして、強烈な違和感に気付く。
平原を抜け、森へと続く道……そこが、今までと明らかに違っているのだ。
「アイン。これって……」
「街道がボロボロですね」
わざわざ人を雇ってまで綺麗に保たれている街道が……今紀伊達がいる辺りから、整備が途切れていたのだ。
石が街道内に転がり、地面もボコボコ。街道の整備は国、ひいては町などの威信をかけたものであるはずなのに、こんなことになっているはずがない。
それに何より、昨日の騒動が終わった後に街道整備に雇われた者達が補修を実施しているのだ。
なのに、どうして。
「……此処から先を後回しにしたってことなのか?」
「可能性としてはあります。モンスターの脅威の可能性が残っているのですから」
しかし、とアインは言う。
「血液反応が僅かですが残っています。7時間以内に此処で何かがあったのは確実です」




