パーティへの誘い
コリンさんにお母さんの遺言を伝えた次の日、冒険者ギルドに来た僕たちは酒場コーナーで朝から飲んでいるコリンさんを見かけた。
「あ、カインじゃない、昨日はありがとうね。昨日は家で散々泣かせてもらったわ」
そういったコリンさんは確かに目元が赤く、泣き腫らしたような跡があった。
「おはよう?やけど朝から飲んでんのか?ちょっと健康に悪いと思うねんけど」
「え?ああ、これはお酒じゃないわよ?あたし基本的に自炊は出来ないからね。毎朝ここで朝飯を食ってんのさ」
それはそれでなんか健康に悪そうやな。いや、だから何っていうのでもないけど。別に僕も健康マニアってわけじゃないし。
「じゃあカイン。コリンをあたし達の仲間に入れてご飯を作ってあげればいいじゃない。どうせあたし達の分もクエストに行ってる時は作ってくれてるんだから。ずっと1人ご飯なんて寂しいわ!」
「ん、姉さんの案に賛成。ご飯はみんなで食べた方が美味しい」
どうやらみんな僕がご飯をコリンさんの分まで作るって案に賛成らしい。いや、僕いっつもご飯作ってるけどめっちゃめんどくさいんやからな!
恨めしげにサリアとエリスを見てみるとプイっと視線をそらされた。チキショ!
「あはは、ありがたいのだけれどあなた達はともかく、カインの方はちょっとね。母さんの事が頭にチラつくからちょっと辛いのよ」
「ああっと、ごめんな」
「いや、別にあなたのせいじゃないのよ?あたしが勝手に気にしてるだけだから気にしないでま、そういう訳だから一緒には行けないわ」
いやぁ、ほんと申し訳ない。
「む、それならしょうがない」
「そうよね、確かにカインには悪いけど、ある意味親の仇とは一緒にパーティ組むのは無理があったわね。ゴメンなさい」
なんか、もう一人分のご飯を作らんで助かったけど、なんか気分悪いよな。まあ確かに僕って親の仇になるんやろうけど、もうちょっと優しい言い方はなかったんか?サリアさん。
「カイン、今すごい顔してるわよ。悪かったわ、謝るからそんな複雑な顔してないで?ほら、コリンさんまで複雑そうな顔になってきてるじゃない!」
「お、おう。すまんな、コリンさんもほら、気を取り直して?な?」
「カイン、必死になってる。面白い」
いやエリス、それどういう意味や?僕全然必死やないんやけど?ちょっと笑顔頑張ってるだけやで?
「いやいや、エリスちゃん。カインが頑張ってるからってそんなこと言って上げないで?プフっ!」
「いや、コリンさんも今笑ってたやん!?」
「いやいや、全然笑ってないよ、ハハハッ!」
だから、笑うなってぇ!
「そうだコリンさん!ずっとパーティ組むのが嫌なんやったら今日だけダンジョン行くの一緒に行かんか?報酬の分配は人数割で」
「うん!それだったら全然構わないよ!サリアちゃんとエリスちゃんは是非一緒に冒険に行きたいと思ってたからね!」
いよっし、じゃあコリンさんと一緒に冒険に出発!
コリンさんが 仲間に 加わった!...なってな。
明日大型バイクの試験なんですよ!めっちゃ緊張する!