ボア+火魔法=焼けたお肉?
あぶねえ!また11:30になっちゃったぜ!
「『血術士』パーティ結成初の依頼よ!絶対に達成して華々しい門出にしてあげるわ!待ってなさい、ボア!」
いつにも増してサリア気合い入ってんなぁ。僕らでパーティ組めたんやから当然っちゃ当然か。ていうかよう考えたらサリアとエリスのふたりは僕が目覚まさせた頃からずっと一緒に居る、ある意味家族だけで構成してるパーティやからな。
何だかんだで家族と一緒に冒険できるっちゅうのは良いもんや。さらに血の繋がった家族じゃないって言うのも素晴らしいわ。血が繋がってると、ほら、わかるやん?つまりそういう事やな。これ以上はあんまり言わんけど。
「カイン、ボア肉手に入ったらどうする?シチューは決定として、あとはステーキとかしら?あと、串焼きなんかもまた食べたいわねぇ」
「姉さん食い意地張りすぎ、それじゃあ宿のおかみさんが倒れちゃうよ」
「はは、確かにな。さらにそんなに作ってたら食べ終わるの真夜中になってまうやろうしなせめて2品くらいに搾ってや」
でもボア、つまり豚やな。それの肉だけやとちょっとしんどいよな。やっぱなんか野菜もんとか何かしら茶色以外の食べ物も欲しい所やな。
どうせボア狩りで森に行くんやから、そのついでにその辺の食べれる木の実、草類集めてこよっかな。
「2人共、ちょっと森に入ったら鑑定使いながら探索したいねん。ちょっと山菜採りながら行こ?結成おめでとうパーティでボア肉だけ、ってのもちょっと味気ないし」
「ん、いいよ。確かにボアだけだと胸焼けしちゃう」
「えぇ、あたしはお肉だけでも全然...」
「あかんよ!そんな事してたらめっちゃ不健康になっ言うんやからな!絶対野菜類も一緒に食うこと、ええか!」
「ちぇっ、分かったわよ、ちゃんと食べる」
うん!それでええねん。...なんか頭にパって出てきたけど、香草で包んだボア肉もええな。
「あ、いたわ!あれ多分ボアよね!見せて貰ったやつにそっくりだもん!」
「ん?『鑑定』ああ、そやね。あれ依頼書にあったボアで間違いないな。行くぞ!『出血』、『纏血』」
以前ゴブリンに向かってやった頭の中で血を大量に吹き出させる方法でもう一回ボアに試してみよか。ゴブリンの時はこの纏血をレベルの長さ以上で使ったからか、大分スピードも遅くなってたんよな。しかも纏血の制御にかかりきりになってたから実際問題、ゴブリンがちょっと避けとったら当たらんかったかもしれやん。
って事で!今回はスキルのレベル内で素早く刺したいと思います!はいっ、グサッ!ブシュウーっとね。
「カイン!またあんた自分だけで魔物倒しちゃって、もう!だからあたしにやらせなさいってば!」
「あ、すまん。ついやってもうた。次こそちゃんと譲るからさ、うん絶対。あ、ほら、さっきのボアの対が来たで!ほらほらサリアの番や、いっちょかましたり!」
「ホントに、調子がいいんだから!まあいいわ、『ファイアスピア』!」
お、サリアの新しい魔法やん!サリアも僕の纏血と同じくらいの頻度で『火魔法』を使ってるから、何かしらは新しいやつ出来るんちゃうかとは思ってたけど、やっぱりな!
サリアの唱えたファイアスピアはファイアボールが最初にでてきたあと、ぐんにゃりと形を変え、先端を細く、後方になるにつれ太くなって行った。
それがサリアの号令と共に発射され、もう一匹居たボアの頭を串刺しにし、盛大に爆発した。
残ったのはボアの胸から下の部分だけになってしまったようだ。サリアが今まで使っていた『ファイアボール』だと頭を吹き飛ばすくらいがせいぜいだったので大分火力が上がったと言えるだろう。
ちなみに僕はサリアならばゴブリンよりかは強い程度の評価だったボアならば、僕の遠距離バージョンとも言えるサリアは保険としてヒーラーのエリスをつけていれば全然問題ない、って判断して今日の晩御飯になる山菜を採取してる。
「あ、倒し終わったんやな。どうや、火魔法の感触は?なんか見てた感じ大分威力上がったような感じするんやけど」
「ふふん!当たり前よ。カイン達が修行に行ってる間、あたしもイメージトレーニングしてスキルレベルもちゃんと上がっていたんだからね!」
うっわ、すんごいドヤ顔やな、なんかムカつく。いや、サリアほっといてエリスと訓練行ったの僕やけどな。
でもよっし!これでボアの肉の討伐クエスト分と僕らのおめでとうパーティ用のお肉は回収できたし、暗くなる前に帰るか!
「よっしゃ!じゃあ帰ったら早速調理してもらうで!帰って食いまくんでぇ!」
「「おお」!」
すんません、やっぱりパーティ名『ブラッド・ウィザード』はちょっと僕の精神が耐えられないので『血術士』に変更します。