新たな街、そして気になる情報
連続更新、2日目ぇ!
無事進化を終えた僕らはラトリアを出て隣町のアルトザインへ向けて護衛依頼を受けながら目ざしていた。
「カイン、アルトザインに着いたらどうする?」
「ん?ん〜、せやなぁ?取り敢えずラトリアの時みたいにならんように宿とる位しか考えてないなぁ」
「ねえ、アルトザインって何が有名なのかしらね?あたし的には美味しいものが欲しいかも。ラトリアも良かったけど屋台って言ったら串焼きしか無かったし」
あ、確かにな。サリアの言う通りラトリアって辺境の都市やから肉が取れやすいって事もあるやろうけど串焼きの屋台がほとんどやったな。そんでたま〜になんかの粉もんが売ってるくらいか。お好み焼き風とかな。
「...おい、お前ら喋ってないでしっかり護衛しろよ」
そう言って怒ってきたのは一緒に依頼を受けたオルバだ。オルバは護衛の依頼を専門で受けており、冒険者歴も15年と長い。難点は思い出話や失敗談を話し始めたら長い所かな。
ただ気はいいので話をしていても楽しい。2人はそうでも無いみたいやけどな。
現に今オルバが奥さんとその子供の事で色々話しているが2人は興味が無いらしく、ずっと疲れた顔で馬車の横をダラダラ歩いていた。
「そう言えばお前ら個人の名前は聞いたがパーティー名はなんて言うんだ?」
「え?パーティー名って僕らのランクでつけていいんか?なんか、こう、Cランクのリーダーを立てやなあかんみたいな制限ってないん?」
「?当たり前だろう。受付嬢の話を聞いていなかったのか?」
...え?そんな話してくれたっけか?どのランクでも、ってことはギルドに登録した時に説明されるんやろうけど、そんな話聞いてないぞ?
「いやぁ、聞いたこともないですねぇ。2人はなんか聞いとった?」
「いや、そんなわけないでしょ?ギルドに行く時は大抵カインと一緒なんだから」
「うん、私も聞いてない」
2人やったらあるいは、って思っててんけどなぁ。僕がどの依頼受けるかで悩んでる間ずっと他の男冒険者共から色んな話聞いてるみたいやったから。
それにしても他の冒険者共からパーティ名聞かれたこと無かったんか?
聞いたことないってことはホンマに聞いてこやんかったんやろうなぁ。
全く!スケベ心出してる暇あったらさっさとその情報2人のうちどっちかに渡しとけよな、ホンマに!...冗談やで?
それにしてもあの受付嬢、やったな?絶対説明すんの忘れとんやろ!
まあいっか、ここでオルバに教えてしてもらったんやからな。どうせやったらかっちょええ名前がええよなぁ。
でもあの受付嬢、覚えとけよ...!ラトリアに帰ったらシメたるからな!どうやってかは知らんけど!
「まあ聞いてなかったものはしょうが無いな。でもお前らのランクではまだ無理だろうが、パーティー宛に指名の依頼が来ることもあるからな、早めに考えておいた方がいいぞ。更にこれが大きい利点だが同ランクの冒険者がパーティに3人以上いると一個上、ギルドに認められればそこから更に簡単な依頼ならば2個上まで受けられるようになるからな」
「分かりました!ありがとう、オジサン!」
「誰がオッサンだ!俺はまだ36だ!」
オルバさん...、それはもう立派なおじさんですよ。でもサリア、純粋に気持ちを伝えたんだろうけど、その呼び方は男には堪えるからやめてあげなさい...。
そしてめちゃくちゃメリットおっきいやんけ!ソロ冒険者ってのもカッコよくて良かったけど、どうせサリアとエリスの二人とは別れんやろうからな。パーティ、ありかも。
でも、パーティー名とかって何がいいんやろうな?ここは王道に『ヴァルハラ』とか?それとも旅してるから『根無し草』とかでもいいな。
兎に角今は護衛依頼の途中やし、また落ち着いたら考えるか。二人と相談も必要やしな。
それからは特に何事も無く僕達はアルトザインというラトリアから見て隣町に到着した。
「そうだお前ら、この頃ここらで盗賊が大規模に暴れているらしい。ギルドも知っていて冒険者を集めているようだ。お前らに呼び出しは来ないだろうが普通の依頼で街の外に出る時は気をつけた方がいいぞ?」
そんな不穏なことを言われ、モヤモヤしたままアルトザインに入る...。
そう考えたらゴブリン討伐の時に人送れへんだんはその所為もあるんかもな。ごめんよ顔も知らぬギルマスよ。