おい、ゴブリンは?どうなった?
ちょっと題名はふざけ気味
ゴブリンの集落を無事殲滅し終わり一夜が明け、僕らはラトリアの街に戻って来た。
うあ〜、やっと帰って来れたわ。めっちゃ色んなことあったせいで心が休まる暇がなかったし...
あ、ちなみに不幸にも足を欠損してしもた人らはギルド職員が持ってきたタンカーに担がれて一足先に帰って行ったで。
体の一部が欠損ってなると流石の魔法でも最上級の魔法くらいでしか直せへんみたいやからな、あと、『再生』とかの上位スキル?とからしいわ。
余談やけど、僕の『纏血』も同じ上位のスキルやねんで?覚えとったかな?ちなみに僕は忘れとった。
そんで多分今回足を無くした、とかなった人は田舎に帰るか、それか魔道具作りが盛んな国、プレジア魔導国に自分の意思で動かせる義足のようなものがとてつもなく高い値段で売っているらしいから、高名な冒険者とかはそこに買いに行くらしい。
だが今回買えるようなパーティはギリギリ『漆黒の鉄人』以上でないと厳しいらしいので、今回負傷した人では田舎に帰るしか道はない、らしい。
え?シドさんらのパーティ?あの人らはほぼ斥候やからな、見た目以上に装備に金使ってるから買えへんらしいわ。
まあ取りえず僕らは無事やったんやし、ギルドに報告入れてペンダント返したら速攻宿に帰ってうまい飯食って寝よ。
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『踊る氷剣』を先頭に帰ってきた時、受付嬢や他の依頼に行っていた人、怪我を負って依頼を受けられなかった人等の全員からの視線が集まってきた。
「ゴブリンはどうなりましたか!?」
「ああ、全ての討伐に成功した。ただ報告すべき事がある。会議室は空いているか?」
「はい、今は空いております」
「ではそこを使わせてもらう」
「はい、分かりました。すぐに準備致します」
この会話の後ギルドにいた人達の視線が鋭くなったのを感じた。
みんな分かっているのだ、ここで報告できないという事はそれなりの自体が起こった、あるいは起こっていると。
その後しばらく待ち、会議室に通されたあと事情を説明すると。
「...そうだったのですね。そんなことになる前に気付けなかった我々もどうかとは思いますが、辛い報告、ありがとうございました。後は私達、ギルドが責任を持ち領主様に報告を入れておきます」
「そうか、それは助かる」
「ささやかですが、後々領主様からさらに大事になる前に食い止めたことに対する報酬が払われることでしょう」
報酬が上がるのはいい事だ。だが事情が事情だけに皆喜ぶようなことは無かった。
あ、嘘ついたわ。『漆黒の鉄人』のメンバーだけはみんな薄ら笑っとる。...ほんまこいつらクズやなぁ?
「さて、報告は終わりでいいですか?」
「ああ、他に報告すべきところはない」
「では下に降りましょう。ここからは報酬に加え、討伐した数に応じて追加で報酬がギルドから払われます。ここにいる全員で一気に、という訳にも参りませんので順番にお呼びします。それまで少々お待ち下さい」
はあ、報酬の話するとなんかやっと終わった、って感じするわ。これまでは何となく帰ってる間も依頼の途中って感じして体は強ばってるし、緊張も解けへんだからなぁ。
まあ報酬って聞いて安心するってのもおかしな話やって自分でも思うけど...。
でもこれでまた宿代が稼げた!今晩もちゃんと布団で寝られる幸せがあるからな!...今思えば野宿は大変やった。危険やし、虫は寄ってくるしでな。
なんて思ってる間に気づいた。そう言えば2人とも全然喋らへんなぁ?チラッと見た感じやといつもの、って感じやけどようみたらすんごい暗い顔してる。めっちゃ落ち込んでるやん。僕らじゃあどうにもならんかったって言うのにな。
んっと、なんか明るい話題ってないかな?あ、そや!
「2人とも、流石に今日は疲れたから勘弁して欲しいけど、明日依頼受けんのやめて服屋行かへんか?ほら、前行ってええ感じの服いっぱいあったし、金が入ったからまた新しい服も買えるやん??」
「それはいい考え、ぜひ行くべき...!」
「そうね!いつまでもこんなこと考えてられないわ!あたしも明日買う服どんなのか決めとかないと。そう考えると報酬が気になるわね...」
ホッ、良かった、乗ってくれて。暗い顔からいつも通りの明るい顔に戻ってくれた。まあ、エリスは何時もあんまり顔には感情が出やんタイプなんやけどな?でも最近は何となくエリスの表情も読めるようになってきたんやで?まだ5割当たったらいいほうやけどな。
その点サリアはすごいねんで?お姉ちゃんやからかエリスがどんな感情になってるか自分では言わんけど分かってそうやし。てか絶対わかってるわ。
さて、約束した以上、明日は絶対服買いに行かんとな!報酬期待しとくか!なんせゴブリンやけどめっちゃ倒せたしな!大体30匹位か?ゴブリンの子供入れたらもっとか。...頼む持ってくれ!僕の財布!
「ありがと、カイン」
「その、いつも感謝してるわ」
「はは、ええってそんなん、僕ら仲間やん、気にしやんでええ」
やっぱ感謝ってええなぁ。心に染み渡るわ。




