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未だ見知らぬ進化を求めて  作者: まよいネコ
異なる世界との遭遇
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事後処理と生き残り

 大まかにゴブリンを退治し、死を選んだ女性を殺したあと、僕は2人を呼び、藁などに隠れていたゴブリンや、その子供を殺して回っていた。


「カイン、また見つけた。もう何体目?」


「分からん、マジで何体産ませとるんや、このクソゴブリン共は!」


「カイン、もうこの小屋ごと燃やしちゃってもいいかしら?いいわよね!?」


「...いや、ちょっと待って!まだ生きてる人が居るかもしれんのにそんなこと出来やんやん!」


 あっぶな!もうちょっとで腹立ち過ぎてOK出すところやった!


そして何体の隠れていたゴブリンと子供を殺しただろうか?多分20を越えた頃だろうが、それは突然聞こえてきた。


『経験値を5獲得しました』

『レベルが上がりました』


『進化が可能です。実行しますか?』

『Y/N』


 あ...、進化できるようになった。でもこんな気分の時に進化って言われても全く喜べる気がしやんな。

 取り敢えず進化しやんと取っとこかな?どうせ進化したらしばらく繭の中にいるから僕が魔物やってことバレてまうしな。


『進化を保留、実行時はステータスにて可能です』


 正直目標にしてたけど、いざとなったらあっそ、で終わるもんなんかもしれんな。

 それにしてもこのゴブリンどもの経験値で進化したって言うのがすんげぇ気持ちわりぃな。マジで最悪の気分や。


 そんな気持ちを抑え、あらかた探索が終わったのでゴブリンを燃やしている広場に2人で戻って来た。


「あ、カイン君、どうだった?無茶はしていないでしょうね?怪我はない?」


 ミシェルさんが話しかけてきた。他の人たちも怪我を負っている冒険者は多いようで四肢の何処かを欠損した、なんて人も少し。幸い僕らが攻めた小屋には居なかったが、どうやら剣や鎌を持って襲って来たゴブリンもいたようだ。

 ちなみにそのような武器を持ったゴブリンを『ゴブリンナイト』と言うそうな。諸君、覚えておきなよ!異世界に行った時のために。


 ミシェルさんには悪いけどちょっとさっきの繁殖小屋を見せるには、女の人やしミシェルさんではちょっと報告しずらいな。

 そや、ハンスさんに声かけてみるか?


「すこし、付いてきてくれませんか?見せたいものがあるんですよ」


「うん?分かった、ちょっとだけだったらいいよ」


 ハンスさんは疑問を感じたようだが大人しく着いてきてくれるようだ。

 何気にこの人チャラい見た目してるからか、相談しやすくって助かるわ。しかもこの中で1番ランクが高いAランク冒険者やしな。


     ・

     ・

     ・


「ここです」


「...ここは!まさか、ゴブリンの繁殖場かい?可哀想に」


「はい、その通り、ゴブリンの繁殖場です。今僕が確認しているだけでも13人見つけました」


「その人達は?」


「ほとんどが死んでしまいました」


「そう...みんな、まだ生きている人がいるかもしれないからね。探そっか」


「分かりました」


 話を聞いてくれたハンスさんが、『踊る氷剣』と『潜むもの』の2パーティーを呼んでくれて、繁殖小屋の捜索がはじまった。

 『漆黒の鉄人』は残るようだ。本人たちによると、


「それは俺たちのようなBランク冒険者がするような仕事では無い!それは下っ端の仕事である!」らしい。...意味がわからん。


 十分ほど経つとふたつのパーティーが1人の女性を連れ戻って来た。どうやら生き残ることを選んだ人らしい。ただ、目が今も燃えているゴブリンに行っていて、その顔は鬼も裸足で逃げ出すほど恐ろしい形相になっている。

 こりゃあ大分恨み持ってそうやなぁ。大切な人でも殺されたんか?


「紹介する、この人はレダ、Cランク冒険者で、恋人の冒険者と共に商人の護衛依頼を受けている途中大量のゴブリンに襲われ恋人は死に、レダさんは生かされたままこの集落に連れてこられたそうだ。他にも生きている人はいたが、生きることを選んだ人はこの人だけだった」


 なるほどな、恋人がね。さぞかし辛かったことやろうによう生きることを選んだな。やっぱ女の人は心が強いわ。


「...紹介に預かりました、Cランク冒険者のレダです。この度は助けていただき、ありがとうございます」


「ふん、何を当たり前のことを。だが災難だったな、お前の恋人がもっと強ければもしかしたら助かっていたかもしれんのになぁ?」


 おいブライアン、なんやその言い方!この人、レダやったか?恋人殺されてそのまんまゴブリンの繁殖につかわれとったんやぞ!

 みんなも凄い目でブライアン睨んでるんやし、いい加減気づけや!どうせアルトザインでも、のけもんにされとったんやろうな!この依頼でこっちの街に手伝いに来た理由が分かったわ!


「何を知ったような口を!大量に出て来るゴブリンどもに囲われ背中を取られた時、マイクは、マイクはな!あたしを庇って死んだんだ!」


 おお、すげえ。めっちゃ男気あるやんけ。僕もできたら、気づいたら勝手に体が動いて2人を庇ってたとかそんなかっこいい奴になりてぇな。


「ブライアン、お前はレダさんに謝れ!今回はさすがに俺とて看過できん!」


 今まで黙って成り行きを見ていたギルド長が口を挟んできた。『今回は』という事はブライアンはやはり毎回こんな感じで突っかかって行っているのだろう。


 今回、犠牲になった女性は見つけただけでもあの後5人増えて18人、更にゴブリンには用済みになった人間を食う習性があるようで、それを考えると35人くらいには膨れ上がるらしい。

 その後僕らは包囲組の冒険者たちと合流し、魔法使いに頼んで集落が再利用されないよう念入りに村を焼いた。


 その光景を見てレダさんが口が裂けんばかりに笑っていたのは一生忘れられないだろう。...だって怖いし。

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