表通りで鎧探し!
「カイン、どこから見ていく?裏通りって言ってもこの街、どこにでもあるじゃない?なんか汚いところからそこまで汚くない場所まで。いっそ『癒しのロウソク亭』まで戻ってそこから順に見て回っていく?」
そうやん、確かに全然どこから見ていくかなんて考えてなかったわ!サリアの言う通り癒しのロウソク亭から見ていくのがええんかな。
でもそういえばあそこら辺鍛冶屋とか見かけへんだような...?
「でも姉さん、裏通りの武具店に行ってもどの程度、質がいいかとかわたし達分からないよ?」
「確かにそうだったわ!どうしようかしら」
「それやったらさ、1回表通りのちゃんとした店に見に行ってみいひんか?それやったらそこを基準にして見れるしな」
「それがいいわね!じゃあそれで行きましょ、カイン場所知ってる?」
「えっ?わからんけど?」
「街の人に、聞けばいい」
「さっすが、あたしの妹ね!そうしましょ!」
そこからは何人聞くんやってくらいの人に道を聴きながら何とか職人が集まる道に出てきた。
え?そんなんでよう門まで行けたなって?そりゃあ20メートルくらいある外壁やもん。この街も迷路やないんやからそれくらい僕らでもわかるって。
それにしてもこの職人が集まってるとこ、『職人街』って言うらしいねんけどこれがまたすごいねん!
どう凄いってファンタジーが好きな人やったらわかると思うけど、周りから響いてくる金属を叩く音、樽に乱雑に入れられて捨て値で売られてる剣!それに武器を今作っていることを想像させられるモウモウと上がっていく黒煙!
「これが、異世界。まじで来てよかったァ!この街に来て初めにこればよかったー!」
「そんなにいい?なんかここ、黒煙で相当煙臭いんだけど。しかもうるさいし」
「イヤイヤ、それがええんやん!この槌を叩く音、この金属を溶かすために燃やしているだろう石炭の燃えるこの臭い!男やったら絶対1回は憧れんで!」
「わたし達女の子なんだけど...」
「え?なんて言った?この音で全然聞こえへんからごめんやけどもうちょっと声おっきくして?」
「ごめんムリ、これが最大」
こんな所に落とし穴があるとは!これから異世界転生する諸君!いつも声小さめで棒読み気味な子を仲間にして職人街に行く時は拡声器を持たせるように!
...誰に言ってるんやろ?
「まあいいわさっさと適当な店に入りましょう?...ここでいいわね」
そう言ってサリアはさっさと自分だけで1件の店に入っていってしまった。
もうちょいこの雰囲気に浸らせてくれよぅ!ほら、この樽に入ってる武器なんか最高にイカしてんで!?
「待って、姉さん」
あぁ、エリスまで...。しゃあない入るか。
ほへぇ、なかなか外もかっけえけど中は中でええなあ。ズラっと種類ごとに分けて壁にかけられた武器達とか、その下に陳列棚で置いてある部分鎧、軽鎧って言うんか?それとか、アーマースタンドに置いてある西洋の全身甲冑!極めつけは、カウンターの奥に飾ってある最高傑作であろう高級そうな鞘が赤い剣!...多分非売品なんかな?
「いやあ、これはこれでなかなかかっこいいな!」
「すいませーん!あたし、鎧が欲しいんだけどめてで何がいいか分からないのよ、何がいいかしら?」
サリアは早速女の定員を捕まえ鎧の相談をしている。多分裏通りに行った時のため、事前にどんな鎧が自分に合ってるかを相談してるんやろう。
なんか裏通りの店って揃いも揃って無愛想やからな。前もって決めとくんは確かに大事か。なんかエリスもサリアについてって一緒に決めとるし。
「なにかお探しのものはありますか?」
え?えっと、ん〜確かに定員さんに聞くのもええけど、最初は自分で選びたいかな?
まあでも決まったら呼んで見てもらった方がええかな?
「いやあ、ちょっと自分で見たいんで決まったらまた意見聞かせてもらうために呼びますね?」
「はい、ごゆっくりどうぞ」
まあ、ここではなんも買わんやろうけどな。