ほかの町の増援は?
職員による発表が終わり、冒険者たちはゾロゾロと周りのものとこれからのことを話し合いながら帰っていく。
どうやら装備や作戦をこれから立てていくようだ。
そう言えばここって国のどの辺にあんのか知らんけど、隣の町からとかって増援呼べたりしやんのかな?
隣の町が歩いて行ける距離にあるんやったらゴブリン騒動は全然対岸の火事やないやろうからな。
「すんません。ちょっと質問なんやけどな?これって隣町からの助けって呼べへんのか?」
「ふむ、それは厳しいでしょうね。ギルドマスターが先程聞き取りを行ったあとすぐに隣の街のギルドマスターに確認を取ったそうですが、その街ではまだ被害が少ないらしく高ランク冒険者は1パーティしか派遣できないとのことです。...まあ仕方ないですよ。その街もゴブリンだけとは限らず魔物の脅威に晒されていますからね。Bランク冒険者パーティーの『漆黒の鉄人』が来て貰えることになっているだけマシと思ってください」
うわ、マジかよ。そんだけしか借りれへんって向こうのギルマス、ケチ臭いなあ。
まあでも職員の兄ちゃんが言ってることもわからんでもないかな。この世界はゲームとちゃうんやから当然、僕がいやんとこでも時間は進んどるしな。
取り敢えずその助っ人はほぼいやんって考えとかなあかんな。どうせ1パーティだけいても連携とかは出来んやろうし。
「カイン?何考えてんのよ。あたし達は後方で支援するだけなんだからそんなに心配しなくてもいいじゃない!気楽に行きましょうよ、勿論機会があればあたしも戦うけどね?」
「姉さん、そんな事言っちゃダメ、だよ?」
「おう、そやでサリアそんな事起きるってことは前線組がだいぶ削れてこっちをカバーできやんくなった時やろうしな。そんなこと起きやんにこしたことないわ」
まあそうは言っても最低限どうするかだけは決めとかなあかんかな。ハア、めんどくさい。僕なんてなんでも面倒臭いと思っちゃう人間やから、なんも仕事せんとしたい時に冒険者稼業やってあとは遊んでるのが1番いいんやけどなぁ。
くっそ!まじであの神がちゃんと人間に転生させてくれとったらこんな事にはならんかったはずやのに!
でもサリアとエリスの2人に出会わせてくれたことには感謝してますよ!ええ、はい!
まあそんな事はええわ。取り敢えず今日のとこは休んでる場合やなくって僕らの防具を有り合わせでもいいからなんか買っとかんとな。
さすがに今まできとったただの服やし、流れ矢とかに当たったら当たりどころとか関係なく重症になってまうからな!
「なあ、今から買い物行こっか?この戦い絶対防具なりなんなりあった方がええしな」
ついでになんか僕用の剣も欲しいところ。『纏血』やとスキルですって言っても気持ち悪さ全開やからな。あと単純に安もんでもいいから剣を腰に履いてみたいって言うものあるけどな、もちろん。
「いいわねそれ!賛成!今すぐ行きましょ、休んでる場合じゃないわ。エリスもいいわよね!?」
「うんいいよ、楽しみ、ショッピング」
あれ?この子らなんか間違ってない?まあ、楽しそうやしほっといてあげるか。
「ちなみにカイン。どういうお店に行くの?あたし的には大手って感じの商会よりもひっそり経営してるようなお店を推薦するわ!そっちの方がロマンあるでしょう?」
「お!それええやん。確かにそっちの方がええわ絶対!そこやったら密かに持ってた聖剣とか魔剣をお前に託す、とか言われちゃったりしてな!...ムフフ」
「姉さん、カインがまたおかしくなってる」
「放っておきなさい。そのうち帰ってくるわ 」
...2人の対応にちょっと悲しくなってもたわ。
もうちょっと優しくしてくれてもええんやで?