もしかして、ミイラになる?
僕はスライムに打ち勝ったあと、川を探しにダンジョン前の洞窟で拾った石で木に迷わないよう印を付けながら真っ直ぐ東に向けて歩いた。
「それにしてもやけど、こうも人と会わんと独り言が多くなってあかんな。あぁ、人が恋しい...。まあ、ダンジョンに行く!って言っとるやつのセリフやないけどな」
別に元の世界にいた頃は1人でも大丈夫やったんやで?やけどなんかこの世界に来てから異様に人が恋しくなってなぁ。あの頃とは違って暇つぶし道具が無いからかな?人と話すってことに癒しを求めてんのかも。
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そろそろ木に印をつけるのにも飽きてきた頃、ようやく水の流れる音が聞こえてきた。
正直これ以上進むようやったら一旦戻ってから、改めて別の方向に向かって歩こかなって思ってたところやったからな。
「いよっしゃあ!これ絶対川やろ。それ以前にやっとの水やで!もう喉カラカラやわ。スライム騒動でだいぶ汗流したからなぁ」
そして、川をしっかり見ようと走りよった先にあったのは底まで見える、とても綺麗な川だった。
この調子やったら飲料水として煮沸しやんでも飲めそうやな。正直今の段階で火を起こすって言うのは火種を作って落ち葉やらに移して、失敗したら最初から...。みたいなめちゃ大変な作業になるはずやったからな。
今まで後ろ確認して、まっすぐ進んでるかを見て、石で印を作って、なんて事を延々とやってたから思考がふっ飛んでたけど、僕は自分では気が付かないうちに相当喉が乾いていたらしい。
いや、むしろ水に飢えていた、と表現すべきか。どうやら集中していたのではなく、脱水状態で思考が鈍っていたらしい。
とにもかくにも先に水だ。顔を水面につけ大口を開けて水を貪る。いくら飲んでも無くならないことに今はすごく感動できた。
この世界に来る前、水道の蛇口をひねれば水が出てきたことのどれほど有難いことか。水がこんなにも美味いと感じたことは今までの短い人生の中でもないんじゃ無いだろうか?
喉が渇いたから水を飲む、と言うだけでは感じられなかった水の甘み、川から直接飲んだことによる森の落葉土の香りがほんのりと漂う。
ある程度水を飲んだところでベタついていた体を洗うべく一張羅であるこの世界に来た時から来ていた少し着心地が悪い麻の服を脱ぎ捨て、川に飛び込んだ。
今の気温は体感で大体20度くらい。日本に住んでいた僕としてはだいぶ涼しい。寒がりの人からすれば少し寒い、と言った感じの気温だったが、この体は寒さに強いのか、水の温度が高いのかは分からないが随分気持ちよく感じる。
そして川に入り、汗やら血やらでコテコテになっていた僕の体を手で擦る度、少しづつ綺麗になって行く。
「あ〜。最っ高!こんなに気持ちよくお風呂に浸かったの何年ぶりや?まあここお風呂やなくて川やけど。それにしても改めてみたら僕の体めっちゃ汚いな。もっと言うと何故か体が灰色になっとんのやけど?これってどういうこと?今まで薄暗いから〜、とか埃まみしになっとるから〜、とか自分に言い訳しとったけど流石に明るくて体綺麗にして、って状況で自分に嘘はつけんよなぁ」
そう実はここに来てから見ないようにしていたが、何故か僕の体が灰色になってたんや。
どっちかって言うと白に近い灰色か?めちゃ遠目に見たらもしかしたら白人チックに見えるかもやけど20mくらいにまで来たら余裕で人間やないって分かるくらいの色してる。
...。あんのくそ神ィ!次会ったらどうなるか、分かってやっとんやろうなぁ!アァ!?
なぁにが異世界行って楽しんでくれや?こんな体やと街にも入れんやろうが!魔物ばっかりの殺伐とした街に行けってか?ふざけてんちゃうぞ!?
見てろよ?絶対進化して肌を白なり黒なり、とにかく人間っぽい体にしてやるからなぁ!?
これからの目標は肌を普通の色にすることやな。なんて事を考えながら自分の服を洗った。
...うわ!服汚ねぇな、おい!ようこんなん今まで着てられたわ。
なんてことを思いながら。
どう?水のありがたみ、わかった?まあ、僕もいまいち実感したことないけどネ。
,,,高評価とか、コメントとか、書いてくれてもいいやよ?
流石に、「お前、どっかの小説と似てる、所謂パチモンやろ!」とかはちょっと傷つくかもやけどね?
ってことで高評価、コメント、オナシャス。