薬草採取! (中編)
ごめん薬草採取編終わらんかったよ
受付のお姉さんにヒッポ草とやらがよく生えているという森に行くため、僕達は入ってきた西門とは真逆の東門へ来ていた。
「この街に来た時って何か厳しい検問?受けたじゃない。また出る時もそんなの受けるのかしら?」
「うぅん、どうなんやろな?僕は多分違うとは思うんやけど」
「なんで?カイン」
「えっと、なんて言うかな。例えば犯罪者がこの街に入ろうとするやろ?でも街側からしたら、もし入ってしもたら大変やん?そうすると犯罪者を入れやんために検問が厳しくなる。でも犯罪者が出て行く分には困らんからな。多分そんな感じかな?」
うん、我ながらドヤ顔でラノベ知識を披露すんのはなかなかはずいもんがあるわ。でもなんかこんなん真面目に話しても笑われやんとむしろ関心した顔できいてくれるんやからな!いい世界やわ、はっはっはっ。
おっとっと、あかんあかん。今は以来に集中しやんと。ドヤ顔してカッコつけてる場合やないわ!
「よっしゃ、やっと僕らの番やな。なんも止められやんと通れればええけど」
「そうね。カッコつけてたもんね」
「へっ?何の話や?」
「誤魔化さなくていい。分かってるから」
へへ。バレてぇら。
それはそうと、さておっちゃん!そのまま通させてくれよ...!
「おう、新人かぁ。頑張れよぉ!」
なんて言いながら門番に立っていたオッチャンが笑顔でこっちに手を振ってきた。どうやらそのまま通させてくれくれるらしい。
良かった、めんどくっさいことにならんで。更にそこからさっきの事、忘れといてくれると助かるんやけど。
「すごい!ほんとにそのまま通れた!カインの読み通りね!」
「へへ、それ程でもないかな!」
「良かったね、カイン。姉さんに失望されなくて」
「いやいや、ホンマやで」
ちなみにエリスさん。その話、サリアにはしないようにな。なんてったってサリアは今、僕の事キラキラした目で見てくれてるんやからな!そのイメージを崩すわけにゃあ、いかんて。
「ほんじゃあ門も無事に通り抜けられたし、薬草狩りに行くかな」
レッツ!草刈りの時間!
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街道になっていた道をしばらく2人と雑談しながら歩き、昼前ぐらいにおすすめスポットの森につけた。
この森は僕が生まれた森と違い、鬱蒼とした陰気な森ではなく、しっかり日差しが地面まで届き、キノコも生えなそうなさっぱりとした森だ。
本来はこういうとこで森林浴とかすんのやろうな。ハンモックとかあれば最高やったのに!
まあ今回は全力で金稼ぎしやんとあかんからな。もし思いついとったとしても、そんないらん装備持って来る余裕は無かったんやけど。
「えっと確か『ヒッポ草』って、木の根っこの近くに生えてる青っぽい草、だっけ?」
「お、そうやねんけど、よう知ってんなぁ。僕も受付の人に聞くまで知らんかったのに」
うん?そういえばマジでなんでサリアがこのこと知ってんのや?サリアは記憶をなくしてまだ思い出せてないはずやねんけどな。まさか!?
「なあサリア!もしかして記憶が戻り始めてんのか!?」
「え!?ううん、そうじゃないのよ。ただギルドでどの依頼を受けるか決めたあともう1回カウンターに行って情報を教えて貰ってたじゃない?だからあたしたちも、って思って、あたし達はあたし達で冒険者の人たちに聞いて回っていたのよ!ごめんねカイン、変に期待させちゃって」
まあ確かに?しやへんだって言ったら嘘になるけど、流石に謝られるほどのことではないかな?もしかしてそんな変な顔しとったんかな?
「いやいや、全然そんな事ないで?まあ思い出したことがあったらバンバン言って欲しいけどな。もしふたりの故郷がわかったら1回行っときたいしな」
「カイン、ありがとう」
「どういたしまして?かな。全然そんな感謝される事はしてへんよ」
あっはでも照れるなあ、なんか。でも美少女2人から感謝されるとめっちゃ心地ええわ。昔テレビで見た!男は感謝されたい生き物やって確か言ってたはずやしな。