キースとの雑談
コボルトに襲われ、撃退した日から数日...。
「グレンさ〜ん、敵は見えませんかぁ?」
「お前なぁ、それ今日だけで3回目だぞ?いないぞ。平和そのものだ」
暇だぁ!アレがあってからはずっとなんも無い草原が続いとるだけで暇やねんかな。
さすがにこうも何もないとふたりと雑談する内容もなんもなくなってもうたし。
そうや!確か『灰の牙』って商人の護衛して世界を回ってるって言っとったよな?なんか面白い話とか知っとんちゃうか?
そうと決まれば早速、誰に聞くのがええやろか?グレンとかはいっつも喋ってて話しやすいけどたまに別の人から話聞きたいよなぁ。
そや、話好きそうなキースなんかがええな!
「キースさん、冒険してた時でなんか面白い話とかない?」
馬車の前を歩いていたキースがこちらに振り返り思案顔になったあと、なにか思い出したのかにこにこしながら話し出した。
「そうだなぁ。じゃあこんな話があるぞ?今はやっとDになったけどよ、俺っちの冒険者ランクがまだCだった頃だ。...」
聞いてみると報酬がいい護衛依頼を探して冒険者ギルドで掲示板を見ていた時に1人の10に届かないくらいの少年がギルドに駆け込んできた。
何事が聞いてみれば村が大量の魔物に襲われたので助けて欲しい。との事だったらしい。
一大事だと『灰の牙』を含めた数パーティが件の村へ行くと、イナゴ型など雑穀を食う魔物が湧いていてそれを村の大人が総出で狩っていた。
結局その子は村の男衆が魔物に襲われていてそれを助けようとしていたのだとか。
その子は体が弱かったらしく10才になり、ようやく外に出たところで、その場面に出くわし勘違いして冒険者に頼みに来たのだとか。
他にもキースは様々な話をしてくれた。笑い話だったり、泣ける話、恋愛の補助をしたとか言う話もあった。
へぇ、冒険者になって旅してたらそんな色んな事にもいっぱい出くわすようになるんかな?まあ兎に角、大分暇は潰せたな。
キースは話好きらしく、僕が前世で読んだラノベの話をしたりすると楽しそうに聞いてくれた。それが僕にとってはすごく嬉しく何時間もそれで話し込んでしまって、気付けば夕方になってしまった。いつの間にっ!
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「カイン、楽しそうだった。そんなに暇だったら、私の魔法の練習明日から手伝って?」
夕食の時間、エリスに攻撃魔法の練習に付き合うことを約束されてしまった。一応雇い主のザックさんにも聞いてOKをもらえたので明日の一日は全てエリスの攻撃呪文習得に当てることにする。
そう言えばグレンさん炎魔法のコツとかなんか知ってないかなぁ?いや別に誰でもいいんやけど。
だって付き合ったとしても僕自身が魔法を使えへんからなぁ。
いやぁ、残業4時間の2日連チャンはマジでしんどい...。