護衛のポジション
遅くなってごめんちょ
「それじゃ、互いの自己紹介が終わった事だし護衛のポジションの相談始めようぜ」
そっか、それも決めやなあかんのやな。
あ、ちなみにエリスとサリアはザックさんと報酬の相談に行ってんで?どうせ僕が言ってもこの世界での金の価値がわからんから護衛料ケチられても僕らわからんからな。
「『灰の牙』って今まで何処で護衛しとったんや?僕らが来たのって馬車が襲われとってみんなが固まって戦ってるところしか知らんねんかな」
「ああそうか、そこから説明しなきゃならんな。ベスタは馬車より前に行って索敵、キースは馬車の前、ジャンはケツを持ってくれてた。そんで俺、グレンは馬車の上に居て全体の警戒だった。...ちなみにお前たち、護衛の経験は?」
護衛なんてあれやな。ゲームでしかやった事ないな。
ゲームの中やったら負けたとしても誰も死なんかったけど、ココ現実でしかもこのパーティ実際に死にかけとったしな。ハア、責任重大やわ。
「その微妙な顔、さては経験が無いな?じゃあ俺が決めてしまってもいいか?」
あれ?そんなにおかしい顔しとったかな?確かに初めてのお仕事ってことでメッチャ緊張しとるけど。そんなん顔色で分かんのやな。因みに僕は他人の顔色伺うのがめっちゃ苦手でよう空気読め!って怒られとったわ。
いやぁ、今に寝ればいい思い出やわ。
おっとと、はよ返事しやんと。
「おうそやねん。僕ら3人とも全く経験なくってな。決めてもらえるとめっちゃ助かるわ」
「じゃあそうだな。カイン、お前は俺と一緒に馬車の上に登って警戒な。サリア、って言ったか。あの赤髪の子は馬車の右翼について歩いてくれ。エリス?って子は左翼だなこれで一応全部の場所が埋まるし、もしエリスとサリア、どっちかが歩き疲れればカイン、お前が変わって歩けばいい」
なるほどな。そういうのですれば紅蓮らのパーティでの変更がなくってそのまんま慣らしとかなく、まあ僕らの分だけで済むし、スムーズに行けるって訳か。
へえ、勉強なるわ。僕らも今後は冒険者になるんやったらそう言うノウハウとかみにつけといて損は無いからな。
参考にさせてもらいます!未来の先輩!ってね。
「一応そういうプランで行こうと思っているんだが、いいか?なにか希望はあるか?」
「いいや、まだまだ右も左もわからん状態やからな変な要望出して現場ぐちゃぐちゃにしたら大変やからな。なんも今のとこ文句ないよ」
「そうだったらいいんだが。不満はしっかり言った方がいいぞ?溜め込むと周りが見えなくなるからな」
「なるほど確かにそやけど、僕に不満はないかな。あとは2人に一応聞いてくるわ」
「おう、じゃあ頼むな」
そしてザックさんとの話し合いが終わった頃を見計らい、護衛のポジションを2人に説明すると、
「ふんふん、あたしが右翼、ってわけね。で、しんどくなったらカインが変わってくれる、と。うん、いいんじゃない?」
「うん、私もいいと思うけどふたりとおしゃべりできる時間が無くなるのは、ちょっと寂しい、かも」
おお!なんかエリスが可愛いこと言ってる...!これが萌ってやつか?
「まあそこはしょうがないわな。だってお金をちゃんと貰ってる仕事やしな。そこは諦めるしかないんちゃうか?」
「ムウ、わかった。我慢する。その代わり、休憩になったらいっぱいおしゃべり、しよ?」
おお、なんかエリスが可愛いこと言ってる!
「当たり前じゃない!あたしたち姉妹なんだから!」
そんなこんなでポジョンは決まったので早速出発することになった。




