スライムを俺色に!
今、スキルで『再生』スキル手に入ってないかって思ってスキル欄凝視しとったからしばらく気付かんだけど、種族名が『吸血鬼モドキ』になっとるんやん。これってどういうことなん?
なんかこう、『吸血鬼』!って言いきったらカッコイイんやけど、何故か『モドキ』が付いとるだけでなんて言うか、すんごいパチモン感がすんねんかな。まあ、モドキなんやからパチモンなんは当たり前何やけど。
言うなればなりすまし犯みたいな?オレオレ、俺だよばあちゃん!とか急にステータスボードから聞こえてきそう。
まあ今、そんなことはどうでもいいねんけど。『モドキ』っていう種族はいつか治したいなぁ。
まあ今はそんな『もどき』がどうの、って言うよりスライムと戦った時にバッチリ奥まで突っ込んだ左腕の肘が、突っ込んだ時でさえ酷かったのに時間が経ってきて筋肉がデロデロになってきた腕を何とかしやんとアカンねんかな。
そうじゃないと菌入り放題、痛み放題の大変なことになるからな。
もしかしたらこの世界には菌がないんかもしれんけど、そんな楽観視もできやんしな。
それにあるんか知らんけど、異世界あるあるのポーションだって作り方わからんし,,,。
お?よう見たら急いで逃げ込んできたこの洞窟、入ってきた時は全然気づかんだけど、この洞窟の奥、石畳みたいになってるやん!
っていうことはこの洞窟、もしかしてダンジョンなんちゃうんか?もしかしたら辺鄙な場所に住んどる研究員とか、そんな感じのやつがいるかもやけどな?まあそんなことは無いやろ。多分。
でももしダンジョンやったとしたらこの手の状態でこのまんま潜るって事は流石に自殺行為やと思うし、どうするかなぁ?
「う〜ん?」
ぼくはその後1時間以上悩み、ひとつの答えを思い付いた。
そや!僕が倒したスライムの核、まだ持ってたよな?もしかしたら、これを溶けた腕に埋め込んだらスライムの周りにくっ着いとった粘液みたいなん僕の体にもくっついて手を保護してくれへんかな?
このまま放っといてもいい事ないしな。
...しゃあない、やるか!
そう言えば、スライムみたいな不思議生物がいるってことは体維持するために魔力みたいなん使ってんやろうか?もしそうやったらこの核もスライムの魔力に汚染されてるんかなぁ?
これ、もしかしたら新しく僕が汚染し直さなあかんかもしれんな。まあ、汚染されてないかもやけどされてた時が厄介やからな!もしかしたら僕がスライムに乗っ取られるかも...!
想像したらめっちゃマヌケやけどな。左腕につけたスライムの核に乗っ取られる僕。うん、アホやな。
「いでよ、僕の魔力ぅぅ!」
フンヌゥゥゥ!
ゼハァ!ハッハッハ...!
こりゃ、あかん!なんも出てる気がせんし、魔力が動いてる感じもしやん。
しゃあない、ここは僕の長年読んできた小説知識を総動員して魔力を使う感覚を掴むしかないな!
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...1時間後
ふう、やっとや。やっと感覚掴むことが出来たぞ。
最初五分くらいして出来ひんだら次へ次へ、っていう方法使っとったんやけど、それがアカンかったみたいやな。
最初に試した方法で坐禅くんで丹田に意識集中して、そんでから魔力を意識するようにしたら、大体どやろ?30分位でできるようになったし、魔力を知覚したらちょっとずつやけど動かせるようになってきた。
さ、こっからが本番や!スライムの核を握りこんで坐禅を組み、核に向かって魔力を、流し込む!
「なかなか難しいな。核にまでは行くけどそっから核に魔力が入り込んでいかん」
こりゃ困ったな。スライムの魔力が邪魔して魔力が入らん。逆に言うとこのまんま核を僕の体に埋めんでたらどうなってたか分からんかったってことやな。
...やってなくてよかった。
さて、こっからやな。僕の魔力をちょっとずつ送っとんのがいま。それが出来ひんってことは違う方法を試すしかないよな。
例えばただ流すんじゃなくって、丹田辺りからちょっとずつ手のひらに移動させてって、そっから核を包み込むように流す。
それに加えてスライムの魔力を追い出すんじゃなくって中和する、つまり僕の魔力と同化させる様にする。
「フゥゥゥン!」
何となくやけど、同化できてきとるみたいやな。やけど僕の魔力が体感的にもうほとんど無い、気がする。
つまり一回休んでからしか、もう一回チャレンジできん。
...こりゃあ時間との勝負やな。僕の魔力が浸透して僕と同化すんのが先か、スライムの魔力が耐えきって僕がなんかの菌にやられるのが先か。菌にやられたらこの世界に来てちょっとしか経ってないけど、スキルのヘボさプラス病気でほぼほぼ死を待つしかない状態になるからな。
勝負やスライム!僕が死ぬかお前が負けるか!
あれ?こんなストーリーとちゃうんやけど?
しっかりレールに沿ってくれへんか?主人公君?