念願の...
遅くなってごめんなさいね!
...やっとや、やっとこの瞬間がやって来たんや!
青い空に綿毛みたいな白い雲、そして視界いっぱいに広がる緑の絨毯、草原!
そこはまさに日本では見られんかった地平線まで続いているようなそんな草原で今までの森の中にあったような太陽の光が見えない程の木はぱったり姿を消していた。
すげえとかそんな語彙力のないこんそうしか出てこんわ。外国の地面は起伏が少ないってよう言うけどほんまやったんやな。まあここ、外国やなくって異世界やけんども。
それにしても僕がこんなに感動したのいつぶりや?この世界に来ていきなり森で、しかも人間じゃなくなってて、それに加えてダンジョン見つけたと思ったらそこはアンデットばっかりの『不死者の楽園』で、考えたらようここまで鬱にならずにこられたわ。
なんかたまに人間陽の光浴びやんとナンタラの栄養が作られんようになるから鬱になってくるとか聞くからな。
世の引きこもり諸君、覚えとくんやぞ!...誰に言っとんや。そんなしょうもないことも今だけはめっちゃ面白く感じる。
後ろを振り向くとちょうど2人も森から出てきた所で周りをキョロキョロしたり地面に生えている草をいじったりしている。
まあ2人は初めて森とか洞窟のくらい所から出てお日様の元に出てきたんやもんな。そりゃ何でも変に思ったり、見たこともないようなもんもいっぱいあるやろうからな。
それにしてもさっきまで森にいたからあんまり目立たんかったけど2人とも顔めっちゃ青白いな。全く日焼けしてへん。こりゃ色白とかのレベルやないで、病的なしろさや。
まあ、これから陽の光浴びて健康的な色になってくるやろ。この世界にデジタル的な娯楽、要するにインドア系の楽しみ方とかまだないんやったらほとんどの人が小麦色、下手したら真っ黒、なんてことも有り得るからな。
そんなどうでもいいようなことを考えてるうちに2人とも草原の観察?は終わったみたいで草原に寝転びながらこちらに転がってきた。...無駄に楽しそうやな、僕もやろ。
「カイン、最初は目がなくなるかと思ったけど、森の外、結構わたし、好きかも」
「おう、僕も森から出て草原に出られただけでこんなに感動するなんて思ってなかったわ。こんな景色見れるんやったらこの世界、旅して回るのも面白そうやな」
「何それいいわね!森に草原、あとは何があるの?街とかは前に聞いたわね。という事は次の目標は街ね!そのあとはずっと旅に向けての準備かしら?」
「姉さん旅、楽しみだね」
「そうね、楽しみだわ!」
エリスと話しているとサリアが旅をして、のフレーズに反応し、ガバッと起き上がってこちらに走りよってきた。
正直、サリアが旅する意見に賛成なのは何となくわかってたことやけどエリスも進んで行きたがるとは思わんかった。何となくやけどエリスってこの森から出て街に行ったあとは命かけて旅するってよりかは安定してずっと老衰するまで穏やかに暮らしてたいってタイプかと思とったんやけどそうじゃ無かったみたいやな。
「そうと決まれば早速街に向けて出発よ、さあ、たってたって!早く行くわよ」
おう、そうやな。って言いかけたところでめっちゃ重要なことを忘れてんのに気がついた。
あれ?そういえば僕って肌の色が灰色になっとったよな?これ、このまま街に入ろうとしたら魔物って直ぐにバレて殺されるんちゃうん?なんかそう考えたら一気に冷や汗が出てきた。これ隠せるやつなんか作らんと元人間の僕が同じ、人間に殺されるっちゅう笑われへん事態になってまうやん!
でも何作ればいいんや?とりあえず顔は仮面でいいとして、手は?僕何とか魚用のカゴは蔦あんで何とかできたけどさすが間接はやらかく作るようにする手袋なんかは絶対無理やで?
ううん、せやなぁ、うん!とりあえず仮面作ろっか!
ここで日本人特有の臭いものには蓋をする、が発動してしまった。作業してる間になんか考えつくやろ、なんて楽観的な考えをしながら作業をする。
...ダメなんはわかっとんねんけどなぁ。めんどくさいねん!考えるの。まあなんとかなるやろ。
「ん?カイン。いくら森が嫌いだからって急にどうしたの?木なんか切って」
「おう、2人はともかく僕って肌が灰色やろ?だから隠せるもん作ろうって思って?とりあえずで今仮面作ってるところ、の前段階の木を倒してるところ。まあ2人は何もすることないし青空堪能しとってさ」
「本当にいいの?」
「おお。もちろんや楽しんどき」
「ありがと。...姉さん、これ裸足になるともっと気持ちいいよ?」
「ほんとに?あら、いいじゃない!森の中って枝がいっぱいだったからこんなことできなかったのよねぇ。いいわ、草原さまさまね!」
そんな会話をBGMに僕はせっせと仮面を作る。
ようやっと主人公たちが森の外に出てくれましたよ!やっとや...