ボスよ。はよこい、はよこい
鬼面蜘蛛との熱い戦いを制したその次の日、また次の日と僕達は下層へと潜っていった。
「それにしても何時になったら最下層につけるのかしら。そろそろこの同じ景色に飽きてきたんだけれど」
「確かに、もうええ、って感じやんな。...でもあとちょいやと思うで?あの蜘蛛が出てきたのが第十層やろ?って事は今が第十八階層やから少なくともあと二層下ればボスか、また中ボスが出てくるんとちゃうかな?」
僕も含めて皆、出来れば二十回層で最後の方がいいって思ってる感じやな。
確かにここやったら経験値も大量に稼げるしええねんけど、いかんせん景色が何階層に行っても同じって言うのがいただけやん。
それに何が辛いって娯楽が少ないことやんな。数少ない楽しみと言えばもう今は無くなってしもたけどたまに遭遇する他の冒険者パーティとの会話か、魔物が湧かへん階段でするトランプゲームかの二つくらいしかないし、とにかく退屈やねんかな。
「あ、階段ね」
「次、十九階層か。あと一層頑張って攻略しよか」
「「おーッ!」」
そして僕達は長い長い階段を下に向かって降り始めた。
次の階層が見え始めてきたところで一旦休憩することにする。これは五、六層くらい前に発見した事で、次の階層が見えるギリギリの場所で休憩していると時々次の階層に出てくる魔物がチラッとだが見えたりするのだ。
大して違いはないんじゃないのか?と思われるかもしれないが、姿かたちが見えるだけでも初見であったのとはだいぶん違う。獣か人型か、あるいはまた違う何かか。といったことだけだが。
「ちょっとここで休憩したらまた行こか。取り敢えず茶でも飲もうや」
「そうね。じゃあ火を起こすわよ?」
こうやって階段に座りながら火を起こすのも慣れたもんやな。...ほら、すぐにお茶のいい香りが漂ってきた。